第17話 古き友との再会
~~~古き友との再会~~~
ようやく霊峰に辿り着いた二人は、自然と足も速くなった。そしてバベルの古い友がいるあたりまで来た。
「おーい、白虎居るか~。」
どこからともなくとても大きな白い虎が現れた。
「ぉおぅ、懐かしい声がしたとおもったら、友よ、息災であったか。」
「あー元気だ、白虎も相変わらずの様だな。」
「我は下界には殆ど興味が無いが、お前の動向だけは、気になっておったのじゃ。我の活動できるのはこの連峰の範囲じゃが、そこらの魔物に問うてもあまりいい噂は聴かんでのぅ。」
「そうだな・・すまねぇ友よ、道を外しちまった・・・・」
「だが今のお前のその眼はあのときのままじゃないか、何があった?」
「話せば長くなるが・・・」
「あー聞かせてくれ、我が友よ、楽しみじゃ。」
そうしてバベルはこれまでの経緯を話し始めた、力を求め人間界ならず魔界をも旅していたことを。そして魔王を倒したが、女神によって力を奪われた事、その時に闇も消えたことを説明し、今力を取り戻すべく旅をし始めたことを白虎に話した。
「そういう事であったか、あれの納得もいった。」
そういうと白虎は一つの箱を持ってきた。
その箱を開けると、玲瓏たる宝玉がいくつかあった。
「まずはこれをお前に返そう」
___テッテレー【バベルの根源】獲得___
その瞬間バベルの体にとてつもなく強い力が湧き上がるのを感じた。
「こ・これは・・・俺の力・・・」
ある夜、数多の空を翔る光の中に懐かしい友の気配を感じた白虎は、一際大きく輝くそれを捉えた。
それからその後もバベルの気を宿した魔物が連峰にいることを感じた白虎はその気を回収して保管していた。この辺り一帯の守り神でもある、四聖獣の一角の白虎に渡せと言われれば断る魔物は居なかった。
そしていくつかの宝玉からもバベルの力を返した。
___テッテレー【バベルの波動】獲得___
___テッテレー【バベルレインアロー】獲得___
___テッテレー【バベルの超再生】獲得___
「ありがとうな白虎・・・持つべきは良き友だな・・・」
「礼には及ばん、もともとお前の物だ」
「そうだ、白虎に聞きたいことがあるんだが」
「なんだ」
「俺の連れの事だがすこし様子がおかしいんだ。」
「は、初めまして、アンナと申します。」
アンナは、四聖獣の白虎を前に緊張していた。無理もない普通の人間なら逃げ出している。
「あれ、戻ったか?」
「何があったのだ?」
バベルはこの道中で少しづつアンナの様子が変わって行った事を詳しく白虎に、話した。
「なるほど、それは魔気に当てられたのじゃ。」
白虎は詳しく説明してくれた。冒険者というのは魔物を倒し、そのエネルギーを少しづつ取り入れ強くなっていく事。ただし、性向値というのがあって、魔物を急速に倒し続けると魔気をも一緒に取り込み、それにより闇に侵食されていく人間が居る事を説明した。
「俺が闇に染まっていったのも・・・。」
「そうであろうな、魔界の魔物は特に魔気が強い。」
「でも、今のアンナはいつものアンナに戻ってるようだが?」
「この霊峰は魔気を寄せ付けずしばらくいるとだんだん浄化されてくるのじゃ。」
「そういう事か。」
「だったら他の者はいったいどうしてるんだ?」
「それはお主ら人間のほうがよく知ってるんじゃないか?」
(一旦冒険者ギルドで聞いてみた方がいいな・・・)
バベルは冒険者活動をやったことがなくその辺には全く無知であった。
「なんにせよ助かった白虎、この恩はいつかきっと・・・」
そういうとバベルは別れを告げようとしていた。
「なんだ、もう行くのか、せっかく会えたと言うのに、寿命の短い人間とは忙しき事かな・・・」
少し待てと白虎は告げてから
「おい、ハクは居るかー?」
「なんでしょう父上?おーこれはバベル殿、お久しゅうございます。」
「おーあの時のチビか。立派になったなーハク。」
十数年前はまだちいさな子供だったハクは、今や立派な白き大きな虎となっていた。
そうして白虎は言った。
「我が愚息を、お前の共として修行をつけてくれ、今のうちに世界を旅して知っておくのがよかろうと思うてな、いつかお前が来たら頼むつもりであった。」
「ここまでしてもらった友の頼みは断れんな・・・ハクなら心強い限りだ、引き受けよう。」
「おーようやく世界を見聞できるんですね父上。」
「あー行ってこい、我が友の迷惑にはなるなよ。」
それから白虎は、勾玉の首飾りをバベルに渡した。
「
それをありがたく受け取って首から下げると更なる力の湧き上がりと、霧散した己の矜持を取り戻した気がした。友との篤い抱擁を交わし感謝の意を示しバベルは、霊峰を後にする事にした。
こうしてバベルにまた新たな仲間が加わった。
そうして一旦冒険者ギルドに戻ることにした。
バベルがハイスピードで走る。
「アンナ殿、我の背にお乗りくだされ。」
「え、でも・・・」
「いいから乗れアンナ。」
「では、よろしくお願いします。」
そしてバベルとアンナを乗せたハクは、物凄い速さで山を駆けていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます