第22話局長報告会2




冒険者ギルドの会議室。

巨大スクリーンの動画が終わった。


すると会議室の照明がパッとついて明るくなる。


参加した人々は黙り込み、シーンと静かなままだ。


皆、色々考えて悩んでると思った。

三山は、切っ掛けを作るべく話し出す。


三山「動画解析者の話では、推定ですが巨大オークの身長は8~9メートルはあると思われます」


ギルド局長は、悩んだ末に言い放つ。


ギルド局長「あんなに巨大なモンスターが居るとは、01式軽対戦車誘導弾で対抗するしかないぞ。銃器では、銃弾が脂肪に阻止されて致命傷にはならん。そうだと思わんか」


三山「もっともな意見です。しかし、01式軽対戦車誘導弾をダンジョンに大量に運ぶ事は不可能です。人海戦術で行なうなら別です・・・それに1セット約3200万円でミサイル本体も180万円位です。対して大きな魔石の価格は決まってません。しかし、このままだと180万以上の価格になりかねません。市場価格で採算が取れない場合は、赤字になるでしょう。ご覧の通り8体の巨大オークと戦ってるのでそれ以上の数が居ると考えられます」


重い空気が立ち込めたように会議室を支配。


ギルド局長「なら如何する気だ」


ギルド局長は、不機嫌なようだ。

それは、分からなくもない。


三山「今回、発見された。ウィル・オ・ウィスプの青い魔石ですが兵器として有用だと意見が上がってます。研究局、報告を・・・」


「研究局から報告します。研究員の佐野が言うには、火炎放射機として使えるのではと案が上がっております。火炎放射機のデメリットの重い武器が軽い武器に変わり、有効射程も約30メートルで安全な距離で巨大オークを焼き尽くせる。そんな風に豪語しております。それに火力発電にも使用出来ると他の研究員からも報告が上がってます。御存知と思いますが原子力発電は全廃と国が取り決めました。しかし、魔石電池の魔石が不足しています。全国の12ヶ所は、今でも火力発電に頼っているのが現状です。どうか新規の火力発電も認可願えないでしょうか」


ギルド局長「なんと頼もしい研究員だな。分かった武器開発を許可する。出来るだけ早く作れ。火力発電は、総理に報告するから仮認可を許そう」


「かしこましました。後で開発報告書を提出します」


ギルド局長は、満足そうにうなずいている。

そして、何かに気づいた。


ギルド局長「ウィル・オ・ウィスプを倒す方法は見つかったのかね」


三山「山田巧が活躍したダンジョンで引き続き調査してます。現状はゴブリンが思うように武器を使用しない事が判明しただけです。しかし、刀を使う自衛隊員から奇妙な話が報告されてます」


「それは、なんだ」


「どうもゴブリンを斬る時に、切れ味がいいと」


「それの意味するのは何だ」


「例の動画を見て感化されたようで、自分自身でもあのように戦えると思ったようです。あくまでも推測ですが本人が自覚して斬れば、自称ゴブのように魔法かスキルが発生している可能性があります。まだまだ検証段階ですが」


「それは本当かね・・・自衛隊員に徹底させて検証したまえ。それが実証されたらウィル・オ・ウィスプを倒せるって事だな。魔法とスキル、まったくゲームの世界だ」


「ギルド局長、自衛隊局から先程の報告があった動画を見てもらいたいと思います」


「そんな動画があるのなら見せてくれ」


会議室が暗くなる。

そして巨大スクリーンで刀を振り下ろす動画が流れた。


袈裟斬けさぎりにされて消えるゴブリン。


斬られる瞬間に薄っすらと光ったようにも見えた。

スロー再生されるとハッキリと光っている。


会議室がどよめく。





-   -   -   -   -   -   -




A研究室。

倉庫のように広い面積で10人の研究員が銃を固定している。


「異常はないな」


「黄魔石に異常ナシ」


「青魔石も異常ナシ」


「すべての研究員は、退避室に避難しろ」


退避室にゾクゾクと避難する研究員。

そのメンバーの数をチェックする研究員。


「佐野、すべて避難が完了したぞ」


「秒読み開始」


「9、8、7、6、5、4、3、2、0」


その瞬間に銃から青い炎が噴出す。


「なんで18メートルなんだ。理論的には30メートル達するハズなのに」


「10メートルで1650度に達したぞ」


「18メートルでも使えるんじゃないかな」


「バカも休み休み言えよ。研究局長に30メートルと言ったんだ」


「青石の出力を上げてみるか」


「やってくれ」


ツマミで徐々に上げた瞬間に大爆発が起きた。


「失敗か」


「嫌、失敗でなく18メートルの報告をした方がいいぞ。今の失敗も出力を上げ過ぎたのが原因だからな」


「ああ、分かったよ」




-   -   -   -   -   -   -




B研究室。


「設定も完了したぞ。準備も整ったから初めてもOKだ」


「しかし、失敗したら」


「失敗は、成功のもとだ。やるしかないって」


「仕方ないわ。わたしがスイッチを入れる」


「あ!」


倉庫の設備が音を鳴らしながら動き出す。


空気を圧縮して青魔石で「ボッ」と燃焼。

そのままガスタービン排気を排熱回収ボイラーに通す。

排熱回収ボイラーの温度は上昇。

排熱回収ボイラーに通る管に給水して、一気に水の温度が上がり蒸気に変える。

蒸気は、そのまま蒸気タービンを回して発電が発生。


「当初予定した電力を大幅にこえたぞ」


「おい、呆気なく成功したな」


「嫌々、時間経過でどうなるか分からん。成功とは言い切れない」


「お前、心配性だな」


「取りあえず局長に知らせてくるよ」


「ああ、任せた」



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