第21話オーク2



地下6階。

そこにも安全エリアがあった。


しかし、安全エリアの先に、1歩踏み出したら異常な光景だった。


「そんなバカな」その言葉が最初に出てしまう。


その通路は、今までの通路とまるで違ってた。

大きいのだ。


幅15メートルぐらいで高さは、18メートルかもしれない。

あくまでも憶測だ。

ちょっとぐらいの誤差あるだろう。

まあ、そんな誤差など構わない。


それ程の大きな通路だ。


次に戦う相手をどうしても想像してしまう。


大きなモンスター。

大勢のモンスター。

空飛ぶモンスター。


その3つのモンスターの、どれ1つでも強敵に変わりない。



そんな大きな通路をランプが高い位置から照らしている。


ウィル・オ・ウィスプの名を『ランプ』にした。

理解しやすい名だ。

ランプの名を聞いて、仲間から選ばれるのウィル・オ・ウィスプだ。

ああ、明るくて本物のランプのようだ。



ランプは、基本的に何も話さない。

青い火だから仕方ない。



そんな俺達に「ドスン、ドスン、ドスン」と地響きが大きくなってきた。


ああ、最悪なモンスターだ。

ここは待構える作戦にでる。


「リーゴ、呪文を唱えろ。ユミは、ユミを構えろ。クーは、雷撃を放てる準備だ。他の奴は命令するまで待機だ」



とうとう見えてきたぞ。


暗い通路か姿が見えた時には、ゾッとしたよ。


身長8メートルの巨大オークだ。


手には、長い石柱を持っていた。

そして、ブンブンと振り回している。


当たれば、ぺちゃんこだ。


「リーゴ、葉っぱ攻撃を右足に集中だ。クーも距離を取って右足に放て。ユミは、目を狙らって放て」


目に矢が放たれた。

しかし、石柱で防ぐ巨大オーク。


回転する無数の葉っぱは、右足に命中。

なんとなく脂肪に挟まって止まった感じだ。

しかし、血が流れている。


そこに雷撃が襲う。

血によって足の内部まだ高圧電流が流れる。

血が吹き出して白い煙まで出た。


「ブヒーー」と叫ぶ巨大オーク。


右膝をついて前向きに倒れる。

凄い音と通路に激しい振動が伝わる。


オッと危なく倒れそうになった。


「ランプ、今だ!」


青い炎のブレスが巨大オークを襲う。

もがき苦しむ巨大オークがこっちを見た。

その目に矢が命中。


「ブ、ブブーー」と叫び声が響く。


その顔に向かって雷撃が放たれる。

回転しる葉っぱも襲いかかる。



再度、青い炎のブレスが襲った。


「ブギー、ブブギーー」が最後の断末魔となった。



巨大オークが消えたあとには、大きな黄色い魔石があった。

これって黄色魔石50個分はあるぞ。


リュックから折りたたんだバッグを出して入れる。




そんな巨大オークの死闘が8回も繰り返した。


右と左のバッグ2つは、8個の巨大魔石で入れない。

リュックもにも入れないだろう。


「これで終わりだな・・・帰るぞ」



「ブヒブヒ、ブー」


「ギャー、ギャー」


「ブヒブヒ、ブー」


「ギャー、ギャー」


「ギャー、ギャー」


「ギャー、ギャー」



安全エリアで弁当を配って食べる。


ランプは、寡黙かもくで弁当に見向きもしない。

何するのだろうと見てたら仲間の後ろを飛びながら見てた。


時々青い炎が赤い炎に変わるだけだ。

なんで変化するのか俺には分からん。


そして弁当を食い終わる頃に分かった。

仲間と会話してるのだ。


俺には、聞き取れないがゴブやオーの口元が動いていた。


もう、俺は確信したよ。


ランプは念話みたいな方法で仲間と会話してるのだ。

声にならない会話らしい。

俺に聞いて欲しくないのかもしれない。

嫌、ただランプがその方法しかないのかも・・・



「ゴブ、ランプと何を話している」


「ギ、ガ、ギュー、ギ、ギー」


あ!これはダメだ。

ゴブが何を言ってるのかも分からん。


結構な付き合いだと思っていたがコミュニケーション不足だ。

もっと会話するべきだった。




5階で何度か戦い4階へ上がる。


あ、自衛隊員だ。



「ウィル・オ・ウィスプがいるぞ!皆逃げろ!」


「青い悪魔だ!」


「嫌々、モンスターカードで召喚したモンスターです」


「あ、お前は、例のモンスターマスターか」


「そうです。なので怖がる必要はありません。どうか落ち着いてください」


少し歩くペースを上げて通り抜ける。


あからさまに指を差してコソコソと話している。

ああ、やめて欲しいよ。


中には無線で連絡する奴もいたぞ。



なので1階出口に行くまで注目の的だった。


安全エリアも人でいっぱいだ。

モンスターを解除して階段を上がる。


ランプが消えた時には、拍手やどよめきでうるさかった。



ドアを出ると職員に案内されて個室に入る。


「しばらくお待ちください。担当者が来ますので」


その間にテーブルの上に大きな魔石8個と魔石をゴロゴロと出す。


ドアがノックされて三山さんが入ってきた。

大きな魔石を見てフリーズしてたよ。


なのでボディカメラからメモリーカードを取り出して手渡す。

説明は無用だ。


手に持ったノートパソコンで動画を早送りして見てる。


「成る程、ウィル・オ・ウィスプのモンスターカードを手に入れたようですね。それに巨大なオークですか、色々な意味で興味深いですね」


「この大きな魔石はいくらぐらいの価値になりますかね」


「今の段階ではハッキリ言えません。どうか気を悪くしないでください」


あ、俺が一瞬、嫌な顔をしたようだ。

だって、あの魔石の中には、青い魔石が20個以上あるハズだ。

値段も確定されてない。


めちゃくちゃ気になって仕方ない。


「あ、そうでした。ここにもある青い魔石ですが研究結果が出ています。暫定的な結果ですが聞きますか」


なんて焦らす話し方だ。

研究結果が出たなら聞きたいに決まってる。


「はい、聞かせてください」


「なんとジェットエンジンのように噴射する事が分かりました。なので宇宙開発に使えると研究員を喜ばせています」


ああ、言ってる意味が分かった。

黄色い魔石の発見で、航空機もプロペラ化が進み安く飛べるようになった。

プロペラを4基搭載して飛ぶのが一般化している。

電気でプロペラを回転させるから、燃料給油も必要もなくなった。


ジェットエンジンなら故障はつき物だ。

その故障がない。

あるとしたら配線不良ぐらいだ。


そして、俺がボーッと考えていた。


「魔石233個で932万円です。大きい魔石と青い魔石は、価格保留でお願いします」


あ、三山さん以外の女性の方が数えてたよ。


昨日は、たしか516万円だった。

それが932万円だよ。夢みたいな話だ。


なら大きな魔石が買取られて1個10万なら80万だ。

1千万円を突破だ。


ああ、夢が広がる。



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