第15話局長報告会




冒険者ギルドの半年に1回行なわれる局長報告会。

互いの情報を共有するための報告会でもあった。


しかしギルド局長の病気による辞任で副局長が就任。

空席となった副局長を狙って争いが発生。

それが、いつしか足の引っ張り合いで、ライバルを蹴落とす会に変貌へんぼう



黄石おうせき局   黄色の魔石をドロップするダンジョン管理局 (電気)

白石びゃくせき局  白色の魔石をドロップするダンジョン管理局 (怪我を治す)

一般局   黄、白以外のダンジョン管理局

増員局   冒険者を広く募り増やし教育する管理局

自衛隊局  自衛隊を使ってダンジョン調査やスタンビート発生撲滅する管理局

研究局   魔石やドロップ品を研究する管理局



「白石局では、自衛隊局の協力を期待して地下5階を攻略したいと思っています。怪我以上を治す魔石のドロップを期待しているからです。以上で報告を終わります」


「それじゃー前の報告会と変わってないぞ」


「山崎、貴様の所も変わってないぞ。地方では、火力発電を使ってるらしいな」


「なんだと!」


「まあまあ、そこまでにしましょう。私の番ですから・・・今月に入ってから緑の魔石数が前月の230%の上昇がみられます。今後、調査をする予定です。以上で報告を終わります」


「それでは、増員局から重要な報告があります。これは自衛隊局にも話を通している案件で、一般局が報告した案件にも係わっております。ダンジョン№119、通称『永富ダンジョン』。このダンジョンの冒険者で山田巧やまだたくみ16歳は、地下5階のゴブリン魔法使いを討伐。その魔法使いのモンスターカードをドロップ。更に魔法使いがドロップする魔石は色濃く大きい形状です。また弓使いのモンスターカードもドロップしたそうです。それだけではありません。ゴブリンに改造した武器を持たせて成果を上げているようです。それに本人も自覚してない能力を本人は、持っていると推測してます」


会議室がざわつく。


「え!№119、私は聞いてませんよ」


「それは、最近になって私自身が出向いて分かった事実で、動画分析で確認していたからに他なりません」


「魔法使いって言ったな。ならば魔法が使えるって意味か・・・・・・それは凄い。魔法でやられぱなしがやり返すことも可能なのか」


「実証してないので確実だとは言えませんが、可能性はあります」


「それで本人が持っている能力とは何だ」


「モンスターの力を底上げする力です。それに本人は、100メートルを8秒台で走り抜けていると思われます」


「そんなバカな」


ざわつく会議室。

コップに水を入れて飲み干す者も・・・・・・


「その動画を見せろ!」


「そうよ、見せなさい!」


「分かりました。編集なしの動画を見せます」


三山は、指で合図。


会議室の照明が暗くなって巨大モニターに動画が映し出される。


モンスターカードが映し出される


「モンスターカードに異変あり。詳細は分からない。本来こん棒を持っているゴブリンがヌンチャクとトンファーらしき武器を所持」


「召喚」


モンスターが召喚される。

ゴブリンが持つ武器がアップされてゴブリンをなめるように映す。


ヌンチャクにクサリを取り付ける工程も、しっかりと映し出される。



戦闘が始まった。

そして戦闘場面も呆気なく終了。



ゴブリンと冒険者が走りだすと凄いスピードで去ってゆく。


「ちゃっと待って!」と声だけがむなしく反響。


通路を揺れながら走る。


ゴブリンを発見。


「何で走るの、せっかくの戦い場面が撮れなかったわ」


「いつものようにやってるだけです」


「あなた達は、いつも走ってるの」


「ええ、走ってます。リン、行け!」




魔法使いが呪文を唱えて植物による攻撃が始まる。

冒険者側のゴブリンを攻撃する植物。


そんな痛ましい場面も映しだされる。


葉っぱ攻撃に驚愕して声を上げる会議室の人々。

劣勢が続くだろうと思われた。

そして全滅すると・・・・・・


それが武器に淡く光り出すと戦いは逆転。


矢の先も光って、急カーブして隠れた魔法使いに襲い掛かる。


「矢が曲がったぞ。あんなのが有りか・・・・・・」




魔法使いのモンスターカードが映し出される。


カードの裏。


HP 5

MP30


植物魔法



「植物魔法だと、そのような魔法があるのか」


またも「ヒソヒソ」と話す声が・・・



弓使いのゴブリンもゲット。

その弓使いのために矢を手作りするシーンでも会議室はざわめく。



すべてを見終わった時には、20時28分になっていた。




ギルド局長が「三山は、明日から副局長だ。この案件をしっかりと調査して報告を頼む。後任の人事も任せる。一般局、自衛隊局、研究局も協力をするように。それに黄のダンジョンへの攻略も交渉してくれたまえ。交渉材料にオークのモンスターカードを譲渡してもかまわん」


局長全員が押し黙った。


「皆の意見がないようだな。これで終了する。次回の報告会が楽しみにしてるぞ」


ギルド局長が立ち上がりドアに向かって歩きだす。


ドア近くに居た職員がドアを開けると、足早に出てゆく。


「ちくしょう・・・・・・」と誰かが言い放った。



高橋は、三山局長の所へ駆け寄った。


「局長、良かったですね。明日から副局長ですよ」」


「運が良かっただけだ。カードマスターが死んで国内のカードマスターが相次いで引退したからね。残ったカードマスターを調べたらソロで7日目で魔石164個を買取ってるから驚いたよ。気になって調べただけだがね」


「それに目をつける局長が凄いに決まってます」


「そう言ってもらえると嬉しいね」



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