第7話戦い3



5日目。


地下1階でゴブにノートパソコンで動画を見せる。

トンファーを使った動画だ。


トンファーの基本から始まった。

両手に一本ずつ持ち、空手の動作を応用し、受ける、突く、廻して打つなど、相当な破壊力だ。


同じトンファーを持った同士の試合を「ギャー、ギャー」と喜んで見ている。


俺は、安全エリアでも油断なく通路を見てた。


「ギャー、ギャー」とゴブが言うのでゴブを見る。


ゴブが立上がってこん棒を捨てて、骨トンファー2本を持ったぞ。


「大事なこん棒を捨てていいの・・・・・・」



「ギャー、ギャー」と言うゴブ。



え!形稽古かたげいこだ。


それらしくなってる。

ゴブは、天才か。


こん棒を拾ってリュックの中に、ダンジョンを出たら消えるかもしれない。

しかし、もったないし記念だ。


あ!自信満々でゴブが自ら歩き出したぞ。

え!急に走りだす。


俺も一緒に走る。



あ!ゴブリンだ。

こっちに気づいてない。


ゴンの足音で振向いたゴブリン。


その頭に骨トンファーがヒット。

崩れ落ちて消えたぞ。


「凄いぞーーゴブ」


え!左の骨トンファーを突き出して、右の骨トンファーをグルグルと回してる。

それって、まだゴブリンが居るらしい。


またも走りだす。


その背中に向かって「骨トンファーで防御する姿を見せてくれ」


「ギャー、ギャー」と声が返ってきた。


ゴブが待構えて殴るこん棒を「コン」と受けた。

更に殴ってきたこん棒を右で「コン」、左で「コン」と受ける。

まさに完璧だ。


「やっていいぞ」


え!ゴブリンの足を足蹴りで崩した。

そのまま頭部を骨トンファーが真上から叩き付ける。

「パカッ」と頭が2つに、なんて破壊力だ。


これって動画を見たからか・・・足で蹴るなんて凄すぎだ。



昼まで30個魔石をゲット。

階段前で壁を背にして立ったまま弁当を食った。


俺が食い終わってゴブに弁当を手渡す。

待ってましたと手で食うわ食うわ。


そんな光景を見ながら俺は、通路にも注意をはらう。





階段を下りる。

緊張が・・・・・・


それなのにゴブは、2階の通路に向かって走りだす。

呆気にとられながら俺も走る。


命令して引止めようと思った瞬間に戦いは始まっていた。


先頭のゴブリンを右の骨トンファーで殴る。

そのまま崩れ落ちる。


次のゴブルンも振り被った瞬間に横殴りして、壁まで吹き飛ばす。


最後のゴブリンも骨トンファーを床スレスレに回してアゴにヒット。

後ろへ倒れて消えてしまう。



転がった魔石を拾っているのにゴブは、またも走りだす。

なんとか3個を拾って俺も走る。


コンパウンドボウをつがえる暇もない。




「ゴン、バシャ、ゴン」と音が響く。


俺が着いた時には、ゴンが仁王立におうだちして俺を見ている。

またも走りだそうとしたので肩をつかまえて「待ってくれ。魔石を拾うから」


「ギャー、ギャー」


分かってくれたようだ。

コンパウンドボウをリュックのフックで引っ掛ける。

そして3個をテキパキと拾う。



もう地下2階は、無双状態だ。

俺は、拾う役目に徹するしかない。


途中で階段も見つけたが2階制覇に向けてゴブと一緒に走る。




行止まりの通路でゴブは、一回転しながらゴウブリン2人を倒す。

残ったゴブリンも攻撃する間も与えずに、回転しながら蹴り倒した。


俺は、拾う。


「ゴブ、帰るぞ」


「ギャー、ギャー」と返事するゴブ。





安全エリアでゴブの召喚を解除。

あ!武器を持ったままだ。


なのに武器は、残ってない。


急いでモンスターカードを拾って見る。

絵柄が骨トンファーを持ったゴブリンだ。

嘘みたいな現実だ。


ちなみにリュックのこん棒も残っていた。




コンビニの買取でおなばんは、ビックリしてた。


魔石120個×300円=36000円


「これじゃー冒険者ギルドに買取ってもうしかないね」


「え!それって・・・」


「もう決められた数が揃ってるのよ。過剰に埋めるとよくない状態になるらしいのよ。悪いけど買取り依頼も頼めるかしら、説明書はこれね」


俺は、項目ページで買取依頼のページ数を見て開く。

それを見ながら「数は何個」と聞いた。


おばさんは、ノートを見ながら「104個でいいわ」


カチャカチャと打ち込んで買取り依頼申請をクリック。


「これで大丈夫だと思いますよ」


「ありがとうね」


俺は、レジ袋を持ってコンビニを出て家に帰る。




家には、テレビがないので暇だ。


なのでノートパソコンで面白い動画を見て笑った。

そしてダンジョン関係も見る。

飛び込んだ内容に驚く。


お!ネットが荒れてる。

自衛隊の地下5階層への非難だ。


なんども失敗して撤退してた。


今回の作戦は、6人1組で撃ちまくる。

そして徐々に後退してメンバー交代。


呆気なくオークを倒した。



残ったウィル・オ・ウィスプに対して戦い続けた。


20式5.56mm小銃がまったく歯が立たない。

ウィル・オ・ウィスプは、青白く燃える火の玉で弾丸ではダメージがない。


それなのに火炎放射器でウィル・オ・ウィスプと戦うなんてあり得ない。

負けが目に見えている。


自衛隊6人1組が全滅。

大火傷して5人、軽症1人が帰って来ている。


早く撤退していれば助かったかもしてない。


そんな悲惨な状況が明らかになった。

生き残った自衛隊員が胸のカメラで撮っていた。




ダンジョンの建物から運びだされて救急車に乗せられる。

そんな自衛隊員の痛々しい姿を、報道陣に撮られてテレビやネットで流れた。


司令官の「やってみないと分からん」の一言で始まった作戦らしい。

秘密にしていた作戦が報道陣にばれて、司令官は怒っていた。


「秘密作戦が洩れるとは、けしからん」


記者会見で記者の前で怒っていた。


副官らしき人が説得しながら司令官を隠しながら退場。

お開きになった。


謝罪会見でなく怒った姿に世間も反発。

国会で問題になりそうだ。


ちまたでは、魔法があれば勝てると噂されている。

その魔法だがいまだに使う者は、いないのが現状だ。



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