第27話 同盟を結ぼう!

 今の現状を話し終えた黄泉、サンタナ、マルタは今後の話をしようとしていた。


「とりあえず仲良くしない?」


「とりあえずって……まさかヨミさん、ミーナと早く遊びたいなーとか思ってはいませんか?」


 しまった、顔に出ていただろうか。サンタナの言う通り、ちゃっちゃと仲直りさせてとりあえずミーナとゆっくり話をしようと思ってたのに。戦略とかは立てられないくせに感のいい奴。


 ニヘラ笑いでその場を誤魔化そうとするが、それを見てマルタも口を開くのだった。


「……これがさっき我々を蹴散らした男なのか?。信じられない」


「へへへ、すいません。やる時はやる、でもそれ以外は漫画読んで笑ってるだけ。それが漫画士ってことにしといてくださいな」


「漫画士………本当に初めて聞く職業だ。騎士、戦士、魔道士、呪術士、回復士などあらゆる者を見たことがあるが、漫画士……よく分からんものだ」


 さっきの惨劇を体験したマルタ。黄泉は恐ろしい人物だと思っていたが、話してみると意外とのほほんとしていて、こっちまで気が抜けそうになるのだった。

 ミーナ、ミーナと騒ぎ立てる黄泉だが実力は折り紙付き。マルタはヨミという人間に興味が湧いていたのだった。


 ニヘラ笑う黄泉に対して、マルタは1つ提案を持ちかける。






「……なるほど、同盟か」


 マルタの提案は俺、ナードベア、そしてナックルベアの3つで同盟を結ぶのはどうだというもの。

 同盟を結ぶならナードベアにはちょっかいをかけないし、力には自信があるということでそっち方面でやれることがあるなら、なんでも手伝うようにすると言うではないか。


「俺はその提案に大賛成だが……ナードベアがそれを受け入れるか……」


「いいですよ、その条件で」


「え、即決!?」


 さっきまで争ってたナックルベアの提案など簡単に聞けるはずが無いと思っていたのに、サンタナはその提案をすぐに了承したのであった。


 実のところサンタナ達も魔族には同情するところがあると昔から思っていたらしく、仲良くできるならそれに越したことはないと、寛大な心でナックルベアの提案を受け入れたのだ。


 ラルドは反対反対と横で騒ぎ立てていたがサンタナはそれを無視する。やっぱりサンタナが村長でいいんじゃないか?と黄泉はサンタナに関心していた。


「……いいのか?」


「ああ、ちゃんと村を直すのは手伝えよ」


 サンタナ……コイツすごいな。


 今回は他人事だから気楽に話に入っていたが、俺が村の人間ならこんなすぐに敵だったやつを受け入れられるだろうか。


 サンタナの寛容さには黄泉も見習うべきものがあると感じていた。


「あ、そうだ。その同盟に1つ条件が」


 サンタナは一度同盟を承諾しょうだくしたが条件を付け加えたいと言い出した。


「条件とは?。我々にまだ何か?」


「いやいや、ナックルベア側にではない。付け加えたいのはヨミさんの方」


「へ?」


 仲良くしてくれて良かったと他人事の様に聞いていた黄泉だったが、同盟の条件に黄泉も入れたいとサンタナは言い出した。


「……一体何を?」


 黄泉はサンタナの条件を聞いてみることにし、サンタナは思いの内を明かした。


「ヨミさんの傘下に我々を加えてもらえませんか?。先の魔法といい策略といい、見事としか思えませんでした。我々が協力して生きていく上でヨミさんの知恵をお借りしたい。ヨミさんに対して我々に出来ることが何なのかは分かりませんが、一緒に今後の事を考えていきたいのです!」


「サンタナさん……」


 サンタナの願い。それは黄泉の傘下に入ってナードベアとナックルベアの共同生活について考えていきたいというもの。またヒューマンとの関係もそうだ。どうにかしてヒューマンとも良好な関係を続けていくために黄泉の知恵を借りたいと言うのだった。


 サンタナの気持ちはすごく伝わった。立派だよ、自分達とヒューマンの関係が危うくなるのを分かっててもナックルベアを受け入れるなんて。そのサンタナの気持ちに答えてやらねば。


 黄泉はサンタナの願いに力強い言葉で返事をする。


「断る!!!」


「ヨ、ヨミさん!?」


 黄泉の力強い一言はまとまりかけてた同盟を一気に崩壊させかねないものであった。

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