第23話 最初で最後にしたい魔法
黄泉の掛け声を号令とし、ナードベア達はペットボトルの蓋を開け、コーラにお菓子を大量投入。最後にナックルベアの頭上にそのペットボトルをあるだけ投げまくる。
ペットボトルの中でお菓子とコーラは混ざり合う。その大量のペットボトルからは、シュウシュウと蓋の隙間から鳴り始める。
よし、今だ。
「お前ら良く見とけ!、これが俺の魔法だーーー!!!」
ナックルベアにペットボトルを見るように言うと、黄泉は両手を天高く上げ、ペットボトルが膨らんでいくのと同時にその両手を振り下ろす。
「ヨカメンティス!!!」
黄泉の叫びに呼応するかのように空中を舞う大量のペットボトルは一気に破裂し、黒い雨粒がナックルベアの軍勢を襲うのであった。
ガードを上げるナックルベア達であったが、その広範囲に広がるコーラの雨粒を防ぎ切ることなどできる訳も無く、皆頭からコーラを被るのであった。
「……なんだ、痛くも
ナックルベア達は自分の状態をチェックする。
物理的なダメージ無し。毒や麻痺といった兆候も見られない。
嗅いだことの無いような匂いのする黒い液体を浴びて少しベタベタするが、蜘蛛の巣のような粘着力があるわけでも無かった。
「何だこれは!、何をした!?」
ナックルベア達は自分が何をされたのか理解できず、黄泉に質問してくる。
しかし質問してくるのはナックルベアだけではない。
「そうですよ。何が起こってるんですか?」
ナードベア達もナックルベア同様、今の現状を何も理解できていなかった。
それもそのはず。ナードベアにはペットボトルを投げたら、すぐに目を閉じて体を伏せているように指示しておいたのだ。ペットボトルが弾けてから後の光景はナードベアには見せていないのだ。
そして俺もペットボトルが弾けるところから目をつぶっていたから、今のナックルベアの現状は知らないのだ。
自分でやっといて見てないというのは不思議に思うかもしれないが俺は『見ない』のではなく『見れない』のだ。
もっと厳密に言うなら今がどうなってるのかを見たくても見れない、けど結果がどうなるかは知ってるから特に見る必要もない。大量のお菓子入りコーラを空中に散布できた段階でもう作戦は終わっている。危険を冒してまで見ることは特に無いのだ。
「おい、目をつぶって何しにて……ってあ、あれ、…何だ?」
「痛い、痛い痛い痛い痛いぃぃーー」
「何だ、何をされたんだ俺達はーーーーー!?」
全く痛く無い、こけおどしだろと言っていたナックルベア。しかし時間が経つにつれてナックルベア達は自分が何かされたと気づき、のたうちまわることになる。
俺には見えてないがどうなっているかは分かる。今ナックルベア達は目を押さえ、涙しながらもがいていることだろう。
「ヨミさん、そろそろ我々も目を開けてもいいですか?」
サンタナ達は敵を目の前にして目を閉じるのは怖すぎると黄泉に言うが、まだ閉じとけと黄泉はナードベア達に指示する。
コーラの霧が晴れるまでは多分10分ぐらいだったはず。まだ早いかな。今目を開けさせたらナードベア達までそれを食らうことになるのだ。
「ヨミさんすごい匂いですね。後ナックルベア達の悲鳴が外から聞こえてきますが……どんな魔法ですかこれは?」
サンタナは目をつぶったままどこに居るかも見えない黄泉に尋ねてみる。すると黄泉は恥ずかしそうに話す。
「………名前はヨカメンティス…………メンティスコーラです」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます