第18話 手紙を読もう

 黄泉はヴァルドランの手紙を走りながら読んでいく。


「黄泉よ、無事ドランアースに辿り着いたか?。俺は元気でやっているぞ!。ローグも元気だ!。まぁさっき別れてからそんなに時間も経って無いだろうから、すぐ読んでるなら『元気に決まってるだろ!』ってお前ならつっこんでそうだな、ガハハハハ。……う、うん、そんなことは置いといてだ。お前に与えた能力について今からこの手紙に書こうと思う。お前が漫画系と言ったからそれに関係する能力を考えてやったぞ。そっちに着いてからの楽しみということだから手紙で書いたぞ。……ちなみに手紙の書き方はこれであってるのか?。俺は手紙を書くというのが初めてであるから下手くそだと思っても笑わないでくれ。分かったか?。……お前の返事が無いというのは分かったのか分からんのか分からんもんだな手紙というのは。まぁいい、能力を伝えればいいだけなのだからそのまま書くぞ。いいか………ん?、なんだ今忙しいんだが?。………は?お前の世界に1人寄越せだと?。急に何だシルフィーよ。今俺は手紙を書いてる最中で………うんうん………うんうん……って何!?、ユーゴがそんなことを!?。それは大変じゃないか!!。………それで………うん………いやいやいや、そんなこと俺に頼むなよ!。え、今から?。いやだから今は手紙を…………サシャも連れてこっちに来る?。いやいやいや待て待て待て。サシャはちょっと……ん?、横で聞いてる?。あ、ああサシャよ、今のは………すいません、来ないでくださいお願いします。…………いやそれだけは勘弁してください。………招集をかける?。そこまでやることないだろ。…………………いやユーゴのことなら俺にじゃなくてザナトスに………あいついないから俺に?。俺関係なくないか?。というかいないってあんの?神なのに?……………待て待て、6ページ6ページと………マジかよ、そんなことできんの?。知らなかったぞ。………何だよ、お前も知らなかったのかよ、馬鹿だなお前も…………いや………すいませんでした、調子乗りました。………ザナトスとユーゴの件は分かった。すまないが今は手紙を書かせてくれ。…………いや似合わないとかではなく…………下とか後からとか言ってマウント取ってくるなよ!。俺も神でお前らと立場は一緒だろうが!!。ローグ?、ローグが何だよ。…………いや、ローグのとこは大丈夫だろ。あそこは平和そのもの………うん………え、マジか。ザナトスといいローグといいちゃんと管理してくれないと………俺のところは問題ないぞ。今転生してもらっ…ああっ!。お前らのせいで書くとこがもう無いぞ。一度切るぞ………後でちゃんと話す、話すから手紙書かせてくれないかってもう書くとこが……いいか黄泉よ。お前の能力はあ、やばい、もう書くとこ無い!。漫画を使って頑張れよー。危険の時はオー〜〜」


 一枚の紙にぎっしりと字の詰まったヴァルドランの手紙はこれで終わる。




「………………………はあぁぁぁぁ!?」


 手紙を読み終え、かなりご乱心な伊集院黄泉であった。


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