第4話 元の世界との決別

「エールフ、エルフ、サっキュバス~。けもみみけもみみうひょひょのひょ~~~」


「……やっぱり行かせる人間を間違えたのじゃろうか?」


 広大な宇宙空間の中で星々に囲まれ、神様を目の前に黄泉は『萌えキャラ大好き音頭』を狂ったように踊っていた。


「いやー、ありがとう神様〜。話聞いてこのクソ髭が!とか思ったけど。エルフとかいるって聞いたら行くしかないよね!先にそっち言ってよ〜。全然観察してくれていいよー」


「う、うむ。行く気になったようでなによりじゃ(こやつわしが神ってこと分かっとるの?)。さて黄泉よ。これからお主が住む世界を作った神に会わせるがよいかの?」


「えっと……今すぐですか?」


「お?何かまずいことでもあるかの?」


 今すぐか。よくよく考えれば異世界に行くっていうのは体験したことないし、魔法があるとか戦いがあるなら俺はどうやって生きていくのだろう。

 それにお父さん、お母さん、妹。友達と恋人は……いないからいいが、残してきた者たちに迷惑をかけないか心配。


「異世界で俺は生きていけるのか心配なのと、あと家族のことはどうなるんですかね?いきなり異世界行って問題にならないんですかね?」


「そこは心配しなくて良い。異世界に行くにあたって、その世界である程度生きていけるように身体能力は調整するぞい。あと転生する際にわしと次行く世界の神から1つずつお主に加護のようなものを与えることになっておる。異世界での生活は不自由なくできるじゃろうて」


 そうか、異世界転生によくある神の加護持ちになれるのか。それなら異世界でも生きていけるはず。やっぱ主人公補正みたいな感じなのかな?それにどんな加護が貰えるんだろう。


「家族についてはお主が転生した際に記憶が書き変わるようになっておる。お主のことは忘れて3人で楽しく暮らすであろう。もし最後に別れを言いたいのであれば少しは時間を取るぞ?」


「かなり都合よくできてるんですね、神様の世界って。いや……それなら大丈夫です。俺をその新しい神様のとこに案内してください」


 家族とも別れ、忘れられてしまうのは正直悲しいが心配されるよりはいい。それに俺みたいな浪人スネかじりの面倒を見るより3人で暮らす方が幸せかもしれない。

 お父さん、お母さん、そして妹よ。3人で幸せに暮らしてくれ。


 神様は黄泉の承諾を得たところで、新しい世界の神様の所へ行く扉を召喚する。


 扉の向こう側の世界。

 それは俺の新しい人生の第一歩だったのだ。

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