第3話 世界の真実

 俺は神様から色々と聞かされた。

 俺の住む地球というのは神様が作った世界の内の1つである。

 そこに住む俺を呼び出して何をさせるかと言うと


「他の神様の作った地球に行って欲しい?」


 まさかの引っ越しであった。


「いやいや、引っ越しと言ってもあれじゃぞ。その地球はお主が知ってるものとは全くの別物。言うなれば異世界みたいなものじゃろうて。その世界はお主が読む漫画のような戦いやら魔法やらがある世界らしいんじゃよ」


 神様は想像の斜め上のことを語り始めた。


 なんでも『神様』というのは複数人いるらしく、それぞれが自分の世界を作っているらしい。

 その神様達の作る世界とは簡単に言えば『ジオラマ制作』なのだ。

 作った世界に自然や建物、生き物を配置して、それを暖かく見守っているのが神様達がやっていることらしい。


「つまり俺は違う神様が作った世界に転生して、その神様が俺の行動を覗き見して楽しむってことでいいのかな?」


「簡単に言えばそうじゃな。違う世界で生まれた者を別の環境に置くことでその者が世界に及ぼす影響を観察する。それこそがわしらの」


「やめてくれ!それ以上は言わないでくれ」


 少しでも期待した自分に嫌気がさした。

 世界を救って欲しいだの勇者になって欲しいだの言われると思ったらまさか、ただの神様の娯楽。本当にふざけた話である。


「俺はお前らの人形じゃない。生きてるんだよ!そんな理由で異世界に行けって。お前らの娯楽のために生きてる訳じゃないんだよ!何だよ、何で俺なんだよ!なんでそんなこと俺に教えるんだよ.....聞きたくなかったよ」


 黄泉は自分の想像した漫画でよく見る、世界を救うための異世界転生ではなく、神様達の作ったジオラマ制作の手直しで使われるだけであることを理解し、涙がでてきた。それを見た神様は黄泉の説得を試みる。


「言ってることはわからんでもないが。わしらだってそれを言うなら世界を作っておるところを誰かに見られているかもしれんのじゃぞ。それにお主と漫画の関係もお主が神ということにならんか?」


 神?は?俺が?

 漫画は生きてねーし、俺が作ったわけでもねーし。

 説得雑じゃね?ふざけんなよ!


「お主のプロフィールは見せて貰ったがのう。異世界とか好きかと思ったのじゃが。それになんじゃ、エルフとかサキュバスじゃったか?お主の好きな物という項目にそういう単語が書かれているからお主を選んだんじゃ。実際に会いたいとかはないのじゃろうか?ふむ、仕方がないが記憶を消して違う者を呼ぶ…」


「……え、え、え、待ってください!…………エルフいるんですか?」


「ん?ああ。次行く世界の神からはそう聞いておるぞ。じゃがの黄泉よ、お主は……」


「……俺……行きます。いや……行きたいです!はい、是非行きたいです!!お願いします、行かせください!!お願いっしまーーーす!!!」


「はへ?」


 さっきまで神様の前で涙を流す黄泉の急な心変わりには、流石の神様も気の抜けた返事しか出来なかった。


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