海-1

「海!お昼お弁当?」

「一応お弁当持ってきた。伊織は?」

「私もお弁当。一緒に食べよ」

「食べよ。どこで食べる?ここで食べる?」

「あ、カフェテリアでもいいかな?」

「いいよ」

「もう1人いてもいい?」

「いいよ」


カフェテリアっていうのは食堂でランチや軽食など食券を買って食べられる場所。

そこで買わなくてもテーブルと椅子があって持ってきたものを食べても大丈夫らしい。


でも、誰が来るんだろう…

緊張しちゃうな…

伊織はめちゃくちゃ明るいから友達も多そう。

中学の友達かな?


「じゃあ行こう!」

「ねぇ、伊織。中学の時の友達?」

「えっ?違うよ?行ってからのお楽しみ」

「違うの?」

「うん。海と仲良くなってくれたら嬉しいな」

「中学同じ子はどれくらいいる?」

「えー?同中の子?情報科に1人いるくらいかなぁ?」

「えっそうなの?あんまりいないんだね」

「うん。あんまり近くないしね」


確かに言われてみれば中学と違って高校は色んなとこから来るよね。


「そういえば海は?家近いの?」

「近い…かなぁ?電車で3駅」

「いいなぁ。私はもっとあるよ。30分くらいかかる」

「今度遊びに来る?」

「いいの?行く!」


伊織はどうしてM高校にしたんだろ?

もう少し仲良くなったら聞いてみようかな…


「あっあの辺とかよくない?」

「めっちゃいいじゃん!あそこにしよ〜」


カフェテリアは最上階にあって窓際は眺めがいい。

ちょうど窓際の角が空いていた。


「屋上も庭園っぽくなってそこで食べてもいいらしいよ」

「そうなんだ!伊織詳しいね」

「うん。パピーが言ってた」

「パピー?」

「父親〜この学校だったんだよ」

「えー?そうなんだ!何…」

何科?と聞こうとした時、


「え?…あ!こっちだよ〜」


突然伊織は手を振りながら大きな声で男の子を呼んだ。


「ちょっと。声大きい…恥ずかしい」

「はぁ?せっかく席取ってあげたのに」


イライラしてる伊織の横に華奢な男の子が駆け寄ってきた。

まさか芸能の子?って思うくらい可愛い系の顔。

「えっ。伊織の彼氏?」

「違うよ。変なこと言わないで」

「違うんだ。ごめんごめん」


「誰?もう友達出来たの?」


「そうだよ。今日から友達の海だよ〜。仲良くしようね。それで海!こっちは私の弟だよ」


「弟?」

「四季っていいます。よろしくね」

「しき?」

「そう。季節の四季」

「綺麗な名前。えっちょっとまって兄弟?双子?」

「双子じゃないよ。同じ学年だけど。私が4月生まれで四季が3月生まれ」

「なるほど!そんな事もあるんだね」

「ちょっと嫌だけどね」

四季が笑いながら言った。


「はぁ?でもまぁ、顔合わせも終わったし食べようよ」

「うん。食べよう」


ちょっとホッとした。

こんなに可愛い弟がいるなんて羨ましいな。




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