海-1
「パパ、パン焼けたよ!」
「んー…ありがと」
朝は私がパンを焼く。
パパは朝が苦手で起きれない。
その代わり夜はパパがご飯を必ず作る。
夜のおかずを多めに作ってもらって朝お弁当に詰めて学校に持っていく。
話し合って決めた。
今日からお弁当を持って高校に行く。
ママはいないけど困ることはあんまりない。
パパは再婚とかしないのかな?ってずっと不思議。
「ご馳走様〜行ってきます!」
「気をつけてね!いってらっしゃい」
電車に乗るために駅に向かう。
高校に入学するタイミングで東京に引っ越してきた。
入学した高校はいろんな科がある学校。
私は特進コースで情報科や服飾科、芸能コースなどもある。
制服はブレザーにリボン、チェックのスカート。
男子もお揃いのようなデザインでコースや科でチェックの色やリボンが変わる。
私の制服は青系のチェック。
大学にはいくつもりだししっかり受験対策をしてくれる高校がよかったけどせっかく東京に引っ越してきたんだしいろんな人と知り合いたい。
もちろん制服も可愛くないと!
この学校は理想通りだった。
まだ入学式をしただけ。
今日から高校生活が始まる。
友達出来るかなぁ?
彼氏も欲しいなぁ…
部活何にしようかな…
期待と緊張でドキドキ。
芸能関係の子もいるのでもしかしたら凄い有名な子と友達になれるかもしれない!
あ、あんまり可愛い子だと横に並んでたら比べられて悲しいかも。笑
まずはクラスに馴染みたい。
特進コースは各コース一クラスずつしかないのでクラスでは三年間同じメンバーで過ごさなきゃいけない。
上手くやらないと。
電車に揺られ駅から出て少し歩くと高校が見えてきた。
芸能の子かな?
送り迎えの車が何台が停まっていて遠巻きに何人かのチラチラみていた。
スマホで学校の案内図を確認しながら教室に向かう。
私の席は…
「おはよ〜!ここでしょ?」
声の方を見ると笑顔の女の子がこっちに向かって手を振っている。
「えっ。あ、そうそう。そこです」
「昨日横だったなぁ〜って思って!緑川伊織だよ。よろしくね!」
「伊織ちゃん。よろしくね」
「えっ呼び捨てでいいよ〜なんて名前?」
「私は佐野海だよ」
「じゃあ海ね!あっ先生きた」
「本当だ。早く用意しないと」
早速友達ができて嬉しい。
正直言うと少し不安だった。
東京はキラキラしていて私余所者みたいじゃないかな?とか、ダサくないかな?とか、
仲間にいれてもらえるかな?とか。
そんな事気にする必要もなかった。
午前中は自己紹介をしたり学校案内をしてもらったりして過ごした。
午後は講堂で集会があるらしい。
お昼休みでお弁当の時間になった。
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