落ちこぼれ

口羽龍

落ちこぼれ

 俺には黒歴史がありすぎる。それによって俺は、こんなに落ちこぼれてしまった。だけどそれが、今こうして小説を書いている俺になっている。それによって苦しんではいるが、こうして小説が書けるので後悔してはいない。だけど、こんな風になるなよ。


 俺はずっと昔から運動神経が悪かった。マラソンでは最下位に近い。それに、頭も悪く、勉強熱心ではなかった。だが、それで笑い者にされる事はなかった。


 だが、中学年になると、いじめを受け始めるようになった。からかわれ、いくつものあだ名をつけられてしまった。俺はそれで心を閉ざし、人付き合いが悪くなってしまったように思える。今でも俺は後悔する事はある。あの時、勉強に熱心であれば、何か変わっていたんじゃないかなって。


 中学校に上がってからは、いじめがますます加速化していった。この頃になると、よく先生に迷惑をかけるようになる。不登校を堂々と決意してしまう事もあった。だけど、みんなが救ってくれた。あの時の優しさは忘れない。そして、思いやりってのが大切なんだと、その時初めて思った。今思えば、それが俺の作風に影響してきたと感じる。


 その時の俺は、国語が苦手で、小説家なんて考えていなかった。だが、妄想だけは好き。それを注意されたり、馬鹿にされたりしたこともあったっけ。まさかそれが自分の今に役立ってくるとは。


 中学校になると、より様々なあだ名をつけられ、苦しんでいて、本当につらかった。特に、俺の趣味にまつわる事、俺が言った事であだ名をつけられるのが嫌だった。それで俺は、物に興味を持つ事が怖くなってしまった。


 自分は鉄道オタク、いわゆる鉄オタだ。今では堂々と言っているが、みんなはバカにして、ありえない妄想を言ってくる。俺はそれがむかついた。そして、それでからかわれるのが嫌だった。だからそれ以来俺は、鉄道オタクであることを隠してきた。だけど、それをSNSなどで堂々と言っていて、からかわれる事はなくなった。みんなが受け入れてくれたようで、嬉しい。


 高校の頃はとても充実した生活だったし、友達もよくできて、明るかった。そして、親元を離れて、大学に進む事ができた。だけどそれが、俺の再転落につながってしまうとは。


 ある日、インターネットが通じ、俺はそれに夢中になった。だが、俺は夢中になりすぎて、大学の事が頭に入らなくなった。そして、成績が急降下していき、みんなから置いてけぼりにされた。今思えば、その時から俺はネット依存症になっていたんだなと。


 それに俺は、無謀な夢を持ってしまい、ネット依存症で就職活動も積極的になれなかったようだ。俺は最初、教員になりたかった。だけど俺は人づきあいが悪く、教える力がなくて断念した。早くそれをあきらめて、就職していればよかったのにと思う事はある。


 1年間の就職浪人の間は厳しかった。今思えば、ニートになりかけていたような気がする。両親のスパルタ的な指導でようやく就職できた。今でもあの両親のスパルタはトラウマで、これまでのいじめや大学での日々同様、今でも思い出す事はある。


 就職できたまではいいが、俺はそこから10社以上も入退社を繰り返した。頭が悪く、どんな会社でも長続きはしなかったのだ。あまりにも辛かった。俺はどんな会社も向いていないんじゃないか、死んだほうがいいんじゃないかと思った事もある。実家に帰れと言われた事もあったが、もう実家に住むのは嫌だ。だって、俺をいじめる奴らばかりで、もう故郷に住みたくない。それが原因で、俺は心の中で言っている。俺は故郷を捨てた。


 だけど俺は、そんな中で本格的に執筆しようと思った。それは2019年の事だった。俺は2001年からひそかに書き始めていた。だけど、誰にも見せた事はなかった。人に見せる事に自信が持てなかったからだ。その後は大学生活、就職などのブランクもあり、全く書いていない事もあった。だけど、みんなに俺の世界観を見てもらいたいと思って、インターネットで発表するようになった。最初は、どうやったら誤字脱字をなくせるのか、もっと読みやすくなるかわからなかった。だが、みんなの助言や、俺なりのアイデアなどで、誤字脱字を減らす事ができ、腕を上げる事ができた。


 色んな職場を転々としてきた俺だが、数年前にようやく安定した職場に入れた。職場の人からの信頼を得る事ができて、充実した日々のように見える。だが、アルバイトで低賃金だ。何とか生活できている状態だ。だけど、執筆のリズムが取れるようになってきた。


 俺はつらい日々の中で、いろんな欲求不満がたまっていた。そう思うたびに、いろんな悪役を考える事ができる。それを表に出す事はないけど。


 俺が酒が好きになったのも、それが原因だ。今でも度々、つらい過去を思い出して、気持ちがイライラして、落ち着かなくなる事がある。全部、俺が原因だとわかっているのに。俺はつらい過去を忘れるために、思い出すたびに酒を飲んでいる。だけど、毎日飲んでるわけじゃない。だけど、飲まずにいられない。めちゃくちゃな人生だけど、それが自分なのだ。


 俺が恋に興味がないのもそれが理由だ。こんなかっこ悪い人生を送ってきた俺に、女は誰も寄ってこないだろう。誰も一緒に生きようと言わないだろう。もし、一緒に生きようと言ってくれる女がいればいいんだけどね。


 もう過ぎ去った過去は戻ってこない。俺は都会の片隅でひっそりと生きている。仕事をする時や、年末年始に実家に帰省する時以外で、あまり人と関わりを持つことなく、孤独に生きている。クリスマスはいつも一人ぼっちだ。こうなってしまったけど、それは俺がいけないんだ、落ちこぼれになったつけだと思っている。


 今でも時々思う事がある。今頃、同級生はどうしているんだろう。俺よりもっと素晴らしい人生を送っているんだろうなと思ってる。そう思うと、自分はどうしてこんな人生を送ってしまったんだろうと後悔してしまう。だけど、それが自分の人生だ。執筆の糧であり、俺の世界観だ。悔いがあるようでないようで、わからない。


 こんなに黒歴史が多くて、とんでもない人生を送ってきた俺だけど、僕はこうして楽しみを見つけた。それはいい事だろうか? 悪い事だろうか? その答えはわからない。かっこ悪いけど、それが俺の人生だ。どうか許してくれ。


 だからみんな、こんな人生を送らないでくれよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

落ちこぼれ 口羽龍 @ryo_kuchiba

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画

同じコレクションの次の小説