第40話 報告書
報告書 No.1102850
県立矢間手高等学校 オカルト同好会
作成者 目黒誠
分類1:都市伝説・交霊術
分類2:匿名者による部室ポストへの投函
内容:蔵本町にあるショッピングモールで特定の椅子に座って行う交霊術について。
1 最初に上を見上げたあとにまばたきせずに10を数える。
2 そのあとに下を向いて目を閉じ44を逆から数えて0になった後に目を閉じたまま顔を上にあげて目を開ける。
最初は3階から幽霊がこちらを見てくる。
瞬きすると2階に幽霊が異動する。
もう一度瞬きしたら目の前に来てしまうので、2階の幽霊を確認したら目を瞑らないでショッピングモールから立ち去らないといけないという。
接触可能な当事者:なし
当事者詳細:霊についての噂はショッピングモール店員の間で広く知られているらしいが、交霊術の噂については小・中学生を中心に流行っているらしいと投書に書かれていた。
後日、近隣の中学生に話を聞いたところ確かに流行ってはいるが知り合いに実行した人物はいないという事だった。
当否:現地訪問にて確認
実行日:●●年●●月●●日(木)
証明者:1-A 目黒誠(部員)
同行者:なし
詳細:調査実行日に現地にて投書にあった交霊術を正しい手順で行ったところ、目を開けると3階から不審な人物がこちらを見下ろしていた。
瞬きすると一瞬で2階に移動したことからもその人物が投書にあった幽霊であると断定。
外見は女性で髪の丈はセミロング、顔には多数の絆創膏が貼られており絆創膏の下からはケロイドの様な皮膚疾患を確認できた。
しかし思わず顔を伏せてしまい、その後の幽霊の動向を確認できず。
5分ほど顔を伏せ、たまたま来ていた知人に声をかけられ顔を上げたときには幽霊の存在を確認できなかった。
その後霊障もなく体調に変化も無い。
報告書を作成している現在もこの交霊術の噂は絶えず流行しているが、ショッピングモール店員の間で幽霊が目撃されなくなった事が後の調査で判明している。
――――――――――
・次回予告・
――俺は俺について、最近懐いてくる後輩に洗いざらいぶちまけてみる事にした。
なんだか少し緊張するが、これであの家に帰る時間を遅らせることもできるしまあ良いだろう。もしこれを話した事で上野と疎遠になってしまっても、まあ、構わない。元に戻るだけだから。
俺は自分に言い聞かせながら、口を開いた。
神田は上野に自分の家族について話した。
昔は普通であった事、苦労しながらも良い家庭であった事。
そして、ある日突然全てが狂ってしまった事
「おはようございます! ドウシュウコジ!」
「ドウシュウコジ! 毎日どういうつもりなんだ! 家族を無視して! みんながお前に挨拶してるじゃないか!」
「お世話させてください」
「あの家に住んでるのは、家族によく似たケダモノ共だ。会話は到底できねえ。だから俺はこうやって毎日金使わないようにぶらぶらして時間を潰してんだよ。あんな家に帰りたくねえからな」
「ねぇ、先輩? どうやってその宗教潰します?」
「…………………………へ?」
俺はもしかしたら、ヤバい奴に事情を話してしまったのかもしれない。
次回
『瞑すべし家』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます