第26話 マエダトミオ

『死亡していたのはマエダトミオ容疑者六十四歳で、二週間ほど前から行方が解らなくなっていたのを、近隣の住民が発見し警察に通報しました。マエダトミオ容疑者は以前から指定暴力団との度重なる接触があったとして警察が捜査をしており、死体が死後一週間以上経過していることから、自殺と事故の両面で調査を……』


 翌日、家のリビングでニュースが流れていた。

 テレビに映っていたのは、間違いなく、大崎と一緒に写真を撮ったハゲで小太りのマエダトミオだった。

 でもあれは2日前の写真だ。一週間前に死んでいるなら写真なんか撮れないはずなのに。

 じゃあ、あのマエダトミオは誰だ?

 このマエダトミオは、誰だ?


「マエダ、トミオ……」


 俺はただ、テレビの前でしばらく立ち尽くしていたのだった。

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