第12話 特色

ブラックデー、つまり青の誕生日から一夜明け今日は土曜日。

土曜日は平日より早く塾に行かなくてはならない。

特色対策があるからだ。

神奈川県の入試の特徴を2つ上げるなら、まず試験日が2月14日と、他県と比べてダントツで早いってこと(受験生にバレンタインデーを楽しむ権利などない)。そして2つ目は特色検査だ。

県内の全ての高校が、というわけではなく、偏差値の高い何校かが実施しているこの検査。単純に言えば、分野に分かれない、総合的な知識、応用力を測られる感じだ。

もっと単純に言えば、特色を実施している高校、通称特色校を目指す子は、科目が1教科増えるのである。

その特色の対策講座は毎回模試を解いて、解説を聞くというスタイルだ。

「42点…」

「40入ってれば大丈夫。あと5点あったらさらに良いね」

特色検査は100点満点だが、先生には50点満点として考えろと言われる。特色は取れて50点。だからそれ以外の5科で目標点に届くようにしろと。

だから同じクラスの、5科の模試でランキングに載るような友だちは、いつもの点数とのギャップに打ちのめされ、このように先生に励まされるのである。

「72点」

私は5科のランキングには擦りもしないが、特色検査が異常に得意だった。

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