第11話 今日のヒーロー

一気に話は金曜日まで飛ぶ。

今日は4月14日、そうつまり何の日ですか!?


「そうですブラックデーです」

指をピンっと立てて教えてあげる。

「違うわ…いやそうなのかもしれんが知らんわ」

地球温暖化の影響か。もうすっかり上着はいらない暑さだ、暖かさじゃない。

もっとも、こいつが学ランを着ているのを私は見たことがないが。

「ブラックデーとは韓国の非公式記念日の一つであり、バレンタインデーもしくはホワイトデーに何ももらえなかった人たちが黒いものを着て黒いものを食べる日です」

黒が足りないよ。ベストの上に学ランを着なさい。それとも自分はそうじゃないという主張かな。否定できないのがウザすぎるね。

「急にウィキペディアみたいになるのやめろ。知りたいわけじゃない」

さらに君は学級委員なのに登下校時のルールも知らないようだね。ベストで帰っちゃいけないんだぞー。

「韓国の非公式記念日のページは面白い」

もっとも、こいつがベストのままで怒られているところを私は見たことがないが。

「マジでウィキだったんかい。…それで、なんの用なんですかあなたたち。

年上である俺を引き留めて」

今は帰りの会が終わった直後。一組の前。

「「おたんじょうびおめでとー!!」」


一昨日からちまちま奈恵と作っていたタスキ。

『今日のヒーロー』を首から下げる15歳。


4月15日よいこにはなれないけどな。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る