3. 人の欲なんて

 この世界では、たくさんのカタチの「情」がある。

 ――戦争とは、全ての感情を踏みにじる最たるものだ。

 ふと思う。何故、人間同士でのいざこざは、戦争に発展するのか。


 「戦争は科学を発展させる」

 「戦争なんて名ではない、もはや殺戮だ」

 それは、決して相容れない言い分となるのだろう。


 それこそ、ドラマや映画、小説などの、「架空の世界」では、闘うことをカッコいいとされるのは、よくあるパターンだ。

 しかしそれは、「架空」に過ぎない。そしてその架空では

「情は捨てろ」

とセリフが入る展開も多い。


 で、あるならば。

 その「情」とはなんだ?

 私たち人間は、感情とともに生きているようなものだ。

 

 戦争に肯定的な人の意見では、必要な戦いだ、と言われることもある。けれど、少なくとも今の日本の年長者、主には戦争を経験した者からすれば。

 ――馬鹿げている。

そう言う人間のほうが圧倒的に多い気がする。何故なら「体験している」からに他ならない。


 知っている人間が、「繰り返してはいけない」と言うのに。

 知らない人間が、それらを「臆病者」と罵るのは、いかがなものか。

 そこにあるのは、野心か欲か。

 ふと、思った。

 身を滅ぼすような欲なら、いっそ無いほうが良いのだろうか、と。

 そもそも、欲にも色々ある。


 人間なんて、日常の些細な欲を見いだせたら、もうそれでいい。

 明日の朝、早起きしていつもより豪勢な朝食にしよう。

 学校にいったら、好きなあのひとからの「おはよう」がもらえると嬉しいな。

 休日には旅行にいくから、その日1日青空であると良い。

 ――そんなの、欲とは言えない?


 なんだって良いのだ、なにを欲と呼ぶかなんて。それこそが、生きているという「時」であり、明日への糧だ。

 そこに、本人が納得することができるのなら。なんの変哲のない、ただの日常こそが一番だ。

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