第2話 発見

そんなことで俺は海に行くことになった訳だが如何せん準備が出来てない。修から送られてきた予定によると3泊4日らしい。海に行くと言ってもその町には山や商店街もあるらしく暇はしなさそうだ。1日目の朝から移動して昼頃に着き、ホテルにチェックインしてその後自由という感じ。19時頃にホテルで夕食を摂り、就寝。2日目は6時に起きて7時に朝食、それから昼まで海でBBQ。午後は何も書かれていない。続く3日目、4日目も同様だ。そんなこんなで迎えた当日。修の家の前で待っているとお母さんが出てきた。

「あら〜冬馬くんおはよう」

「おはようございます」

「今日はごめんねぇ」

「いえいえ元々予定がなかったですから」

そんな会話をしているうちに修が出てきた。

「あ、冬馬おはよ〜」

「修、おはよ」

「ちゃんと準備はしてきたか?」

「勿論」

「じゃあ荷物寄越せ。車に乗せるから」

「はいよ」

そう言いながら荷物を渡す。車を見ると結構大きな車種のようだ。それはそうだ3人分の宿泊荷物と椅子やテーブルまであるのだ。そう考えているうちに支度が終わったようだ。お母さんが呼んでる。

「冬馬く〜ん準備できたよ〜。車乗って〜」

「は〜い」

車での移動は早かった気がする。実際には4時間くらいかかっているわけだけど。現地に着き、ホテルにチェックインを済ませると修のお母さんが戻ってきた。

「はい、これ部屋の鍵ね。この後は部屋でのんびりしてもいいし、散策してもいい。私、疲れたから部屋で休んでるわ」

「運転お疲れ様です。じゃあ俺はその辺を散策してきます。夕食は19時ですよね?」

「そうよ。だから18時45分までにはロビーにいてね。」

「分かりました。修はどうする?」

「俺も疲れたから部屋で休んでる。」

「分かった。じゃ行ってくる。」

「いってらっしゃい」

そんなわけで散策に出たわけだがどこに行こう?マップで調べると近くに山道を含む山があるようだ。山と言ってもそんなに高い訳ではなく散策に適したような低い山だ。まぁ麓まで行ってみよう。ということでその山に行くことにした。山へ行く途中、ある横断歩道を通った。電柱の傍に花が添えてあって痛々しい事故を物語っている。近くの人に聞いてみたら急に飛び出してしまった男の子を庇って亡くなってしまった女子高生の花だと言う。

「そんな事故が...」

思わず口を噤んでしまった。女子高生は撥ねられたあと50m程引き摺られて亡くなってしまったという。それを想像するだけで吐き気がしてしまう。その女子高生は地元では子供好きで有名で子育てママさんに人気だったそうだ。そんなことがあり、山の麓につくともう日が傾いていた。さて帰ろうと思ったとき白い影を見た。まるで幽霊を彷彿とさせる白いワンピースに闇を思わせる真っ黒な髪。しかし夕日のせいで顔がうまく見えない。こっちを見たかと思ったらすぐに見えなくなった。

「なんだろう?あっ時間が」

ふと腕時計を見ると時間は18時30分を指していた。ここから走っても20分かかる。

「どうしよう...」

「おーい」

後ろから声をかけられた。

「兄ちゃんどうしたんだい?」

後ろを見ると事故の話を聞いたおじいさんが軽トラに乗って手を振っていた。

「実は...」

時間がなくて焦っていると伝えると

「俺が連れてってやるよ。あそこのホテルだろ?」

「そうです。お願いできますか?」

「あいよ任せな!」

「ありがとうございます!」

そして俺は無事ホテルに戻ることができた。

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あの夏の日 霧雨魅魔 @kirisamemima

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