第114話 策士、策に溺れる!

私はビルの一室に居る。


「ええ私に電話をかけろと言われたの、分かったわよ一時間後に幕張メッセダンジョンに集合ね、千葉支部長も呼ばれたのね分かったわよ行くからね」

妹から私に電話だった。


私には掛けずに妹を経由て、手の込んだやり方だ。


次は私の前にいる彼女に、最後の電話が来る筈だ。


電話が鳴る。

プルプルプルプルガチャ。


「………はいカオリです、大丈夫だったんですかしんぱ小声で話せ、………大丈夫です誰もいません母もです、………なら裏の買い取り場の一階の奥の部屋で会いましょう、………主任だけ置いておきます、………十分後ですね………」

ガチャ、彼女は電話を切る。


「電話が来ましたよ、凄い感ですね流石は担当さんね」

奏凪長官のヒントとは、私は言えない。


「それで彼が此処に来たらどうしますか? もしダンジョンに行く以外なら渡しませんよ!」

カオリさんは、私に問いかけて来る。


「それがね私も分からないのよ、だって一回りも下の中学生で初めて会った時には、ゾンビ臭を撒いて受付に来た迷惑な子なの!もう一週間会ってないだけなのに会いたくなるのよ。

私てやっぱり変よね」

私の言葉を聞いたカオリさんは、笑っている。


「私なんてタカピーで嫌われたのよ!あのアイテムBOXを五億で売れって。

今は気軽に話せるけどね、後五年は遅く生まれたかったわよ〜」

私達が話していると、トントンと扉が叩かれる。


入って来たのは主任さん。

「お嬢様、彼が来ましたよ一人です」


「そう通してね、よろしく」

主任さんは、出て行く。


案の定、彼の最後の電話の相手はカオリさんだった。


何故彼女は、それ程までに信用があるんだろう?


「ええと貴女はドアの横に居なさいよ、開いてもドアで隠れるからね」

私はドアの横に移動する、カオリさんは手鏡を見て髪を直している。


トントン、ドアがノックされる。

「どうぞ」

彼女が返事をしてドアがゆっくりと開く、中を警戒しているようだ。

カオリさんは笑顔で迎えている。


「どうぞ、心配しないで椅子に座ってね!本当は抱きつきたいけどね」

何を言っているんだ彼女は中学生に、そして彼は椅子に座る。


自動でドアが閉まって彼が後ろを向けば私に気がつく!その前に捕まえないと。


私は彼にそっと近づく、手首を捕まえるはずが背後から首に両腕を回してしまった。

「捕まえた!」

恋人たちが相手を驚かす様にだ!


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ブルードラゴンに行く少し前。


「ええお姉さんにも言って下さい、そちらの幕張メッセダンジョンに行くと、新しい討伐の話があるとお願いします」

千葉の八木さんに電話完了、埼玉は勘が鋭いので伝言で誘い出す。


少しして、本命に電話をかける、プルプルプルプルガチャ。

「どちら様、新規の方だったかしら?まだ登録していないので御免なさいね」

「もしもし………カオリさん小声でお願いします、サダです」


何かを倒す音、大丈夫かな。

「大丈夫よ、母も側にいないからね、今は何処にいるの迎えに行くわよ、だって上級ダンジョンから出て来られたんでしょう」


カオリさんの口振りなら、まだ指名手配にはなって無いだろう。


「カオリさん、何処かで会いませんか?」

「えぇデートの誘い、なら何処かのホテルのラウンジでいいかな」

何を言っているんだよ! 頭がまだ桃色なのかよ。


「違いますよ、人がいない所で秘密の話が有るんですよ、相談に乗って下さい」

「私に乗るの良いわよ、ベッドを用意しておくわ!」

おーい、頭を桃色に染めるのをやめてくれ!


「電話を切りますよ!本当に」

「冗談よ切らないで!それなら裏の古い店舗の一階よ貴方が初めて来たところよ。

その奥に応接室があるからね、店には主任を置いておくけど話はしておくからね、安心して入っていらっしゃい、はいはい十分後には来るのね待っているわよ」


そして十分後、ブルードラゴンの旧店舗一階を訪れる。

主任さんは、俺が入ると奥のドアを開け、俺が来た事を告げてまた戻って来る。


「扉の奥でお嬢様がいます、貴方が入ったらこの店舗はcloseにしますので安心して下さい」

何を安心するのか分からないけど、とにかくはカオリさんに会ってからだ。


ドアをノックして扉を開ける、その時彼女は微笑んでいたが俺は気づかなかった。


女性の微笑みには罠がある事を、姉や母まして妹も笑いより微笑んでいる時の顔の方が怖いと言う事を!


そして椅子に座ると、突然首に腕が回って来た。

「捕まえた」


背後を振り向かないでも声で分かった、千葉に誘い出したはずの八木さんが、俺の背後にいる事を!











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