第112話 もうすぐ仕上げ!
さてもう少し敵を分散しておこう。
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私は帰り支度をしている奏凪長官に声をかける。
「奏凪さん、解散だから言いませんが、皆さん帰りが早いですね、確かに彼は地上に出て来ましたが、まだ見つかってませんよね」
みんなの行動を奏凪さんはどう思っているのだろうか?
「八木君は彼の行動をどう思う、誰に帰還連絡もしないで学校に行く、その行動は正しいだろうか?」
私の質問に更に質問をしてくる奏凪さん。
「正しくは無いと思いますね」
率直な感想を言う。
「何故だね」
更に質問をしてくる奏凪さん。
「普通の社会人なら上司に報告をしますよ、私だってダンジョン長ですが支部長には報告しますよね」
当たり前の事だ、社会人なら会社や上司には報告する。
「そうだね組織に属していたら報連相は大事だ、ただな彼はまだ中学生で、冒険者になって一ヶ月なんだよ」
奏凪さんが当たり前の事を言って来た、中学生で初心冒険者だけれどもね。
「ですから何を………確かに学生なら上司はいませんね、だけど私は彼の担当として報告が欲しいのですよ!」
彼を担当しているのは私だ、彼の上司的な存在なはず!
「なら担当なら、今は彼が何を目標にして何をやろうとしてるか分かるかい!」
私の答えに奏凪さんは、更に質問をしてくる。
「そんなの何処の冒険者でも同じはずですよ! ランカーをあげて行って沢山のお金を稼ぐ、上級ダンジョンに入る事では無いですか?」
冒険者なら当たり前の事を、答えとして奏凪さんに言った。
「君が言うならそうかと思うが、彼は中学生でやり方を覚えたら猿になるよ」
「ちょっとその言葉は、長官遠回しにセクハラですよ、何が言いたいんです!」
セクハラみたいな事を言われて私は少しムッとする。
「彼はダンジョンに潜っては、攻略方法や新しい敵をどう攻略するかと毎日考えているんだよ!お金も大事だけれどもね。
毎日ダンジョンに潜る事が嬉しいんだね、毎週毎週支部や我々に呼ばれては、ダンジョンに潜れなくなる!ならば報告はしたく無くなるだろう。
此処で彼を待って、何日か事情聴取したら彼は全てを話さないで、適当な報告をして去って行くだろう」
長官の解答に私は更に声を荒げてしまった。
「そんなのは冒険者の義務に違反してますよ! カード剥奪物です!」
そんな私の回答を奏凪さんは笑いながら返答してくれる。
「なら全ての冒険者がいなくなるね、だって誰も成果しか報告をしないのだから」
確かに討伐報告はしてくるが、誰も討伐方法は教えて来ない。
秘匿する事は冒険者として出来るけど、それではダンジョンの先を攻略する事は出来ない。
「そんなのダメに決まってます!義務はある筈です!」
私はダンジョン職員としての回答を奏凪長官に伝える。
奏凪長官は笑って回答してくる。
「彼は初心者の冒険者なんだよ、君が厳しいから逃げて行くんだね! 担当を変えた方が良いのかも知れないな!」
私が厳しい? 奏凪長官は私を担当から外す? 何故?
「待ってください、何故そのような事を言うんです」
奏凪長官の電話が鳴る。
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