第110話 サダ逃亡したってよ!

外に出て、大きさを戻して三人でタクシーに乗り、朝脱出したつくばエクスプレスの線路に行ってみる。


「あれ、警察官が一杯いる、もう逃亡情報が漏れた?」


そんなに早いはずは無いよな、降りて聞き込みをしてみよう。

非常線の黄色いテープの前のおじさんに聞く。


「何の事件ですか?」

「あゝ小僧、なんだか十年以上前の電車が線路の上にあるんだと、それを今何処から来たか調べているんだ、とんだミステリーだぜ」


あの電車がもう見つかったんだ、なら此処からはダメだな。

またタクシーで移動、北千住と南千住の間の地上部。


やはり警察も消防も冒険者もいる、此処もダメだな。


「旦那様どうしたんだ?」

黒の悪魔が聞いてくる。

「いやお前達を戻そうと思ってな、何処からか入れないかとね」

「何処からでも黒い壁が有れば入れますよ、ただ通行料がかかる時が有るけどほとんど通過出来る、私達は商業ギルドに所属しているからね」


白の天使も言ってくる。

「商業ギルドは通行料免除なんだ」

俺は考える、商業ギルドって本当にあるんだ、小説すげ〜!


「ただ、地下に行けないとダメだからな」

「そうよ、地下と地下が繋がっているから、地上のはダメだよ」


なら何処かのメトロダンジョンに行くかな。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「彼遅いですね、校長先生男子トイレなので見てきてください」

担任の先生は校長先生にお願いする。


「そうだな、見てこよう」

「私も行きます、何故か胸騒ぎが」

校長先生と柳生さんは俺を見つけにトイレに行く。


校長先生はトイレの中を一回り、どの便器も空いている。

「柳生先生、何処にもいませんよ、鞄は此処に有りますがね」

「えぇ」

柳生さんはトイレに入って全ての個室を確認、掃除用具置き場も開けて確認した。


「嘘〜逃げたの私の首が確定」

項垂れ跪く柳生さん、そこに担任がくる。


「校長先生、ダンジョン庁からお迎えが来ました」

柳生さんは立ち上がり、担任に詰め寄る。


「貴女確かにサダをトイレに送ったのよね、なら何故中に居ないのよ!」

柳生さんはトイレを指差す。


そこにくつ音が聞こえてくる、カッカッカッ、近づく足音。

「チーヨ、サダ様何処にいるの早く会いたいわ〜、何処に居るのかしら」

安達さんが迎えに来たみたいだ。


「いゃ〜ユーメー、待って聞いてよ此処にいるサダの担任が目を離したのよ、私はダメと言ったんだけれど」


「チーヨ本当に逃したの〜、なら首よ二度とダンジョン庁に来ないでね」

そして、安達さんは校長室に向かった。


「そうだ放送室」

柳生さんは放送室に走り込み緊急放送を始める。


「皆さん元教師の柳生です、三年のサダマサシ君を発見してください、懸賞金は十万円、この学校の中に居るはずです、教師も生徒も探して下さい、お願いよ〜」

元教師柳生先生の声が全校中に木霊する。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


教室中が騒ぎ出す。


「嘘〜サダ君逃亡したの!」

「何で逃げたの、あのお姉さん達と重婚だから」

「もうだから歳上は気おつけてって言ったのにな」

「しかし、役所に書類は出してないはず、重婚は出せない」

「なら女子はサダ君の結婚を阻止しよう」

「「「「「オー」」」」」

「俺達男も十万円とあの綺麗なお姉さんとの結婚を阻止しよう!」

「「「「「オー」」」」」

三年生達は、十万円とサダの結婚阻止が第一目標だ。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「お兄ちゃん大丈夫かな?」

「どうしたのヒデミ今の放送はお兄さんの事」

「そう見たい、ただ朝のあの人達が絡んでるはずよね」

「何、何、何の事?」

「あのね〜朝の事だけど………」

一年生は呑気だ!


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「八木さん聞きました今の放送を、サダ様は逃亡を企てました。

非常線を張ってください、このままでは新たな情報が流失してしまいます、サダ様は口が軽いから」

「了解」

八木さんは電話を切る。


「奏凪長官、サダ様が学校に現れまして、そこに居た職員が確保をしましたが、輸送の職員が行く前に逃げました。

現在は逃亡中です。

安達から非常線を張るように要望が来ました」


「ゴールドランカーを非常線で捕まえるか!恐らくは無理だろう。

生きているならその内出てくるよ、緊急本部は解散して平常運転だな」


「よろしいので?」


「八木君、彼だよ彼、ゴールドスライム討伐百%に、上級ダンジョン脱出して平気な顔で学校に行く人だよ、俺達が捕まえる確率0%だよ、経費の無駄だから此処は解散して、警察に写真渡して職質で捕まえてもらおう。

ご苦労様解散!」


何故か奏凪さんは緊急対策本部の解散を決定、これによりサダマサシの地下潜伏が確定する!









  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る