第108話 平和なら良いけど!
タクシーで家に着いて、鍵を開けて玄関に入ると母が待ってましたと、俺をリビングに連れて行く。
一連の騒動で、母の代わりに姉が秋葉原に行っているそうだ、妹は寝ている。
「良いお姉ちゃんに会ったら謝りなさいよ!朝帰りなんてね、秋葉原まで迎えに行ったんだからね」
上級ダンジョンの事は、母はスルーした。
「それと何処のお子さんと遊んでいたの、後で謝らなければいけないから教えなさいね、お風呂に入って学校行きなさい」
母に解放されてから二人を部屋に置いて、俺は風呂に行く。
部屋に戻ると、何故か声が聞こえる。
扉を少し開けてみると、小学生の二人と妹が居る。
(何故妹がいるんだ、そしてアイツら何で大きくなっているんだよ)
さてどうする、母は間も無く仕事に行く、姉は居ない妹をどうにかしないといけないよな。
「マサシ、ヒデミと朝食を食べたら鍵を閉めてから、チャント学校行きなさいね」
母が玄関から出て行く音が聞こえる、よし後は妹だけだな。
「ヒデミ、話がある」
「見て見てお兄ちゃん、すごいコスプレーヤーよ!羽が本当に生えてるみたいに動くのよ、すごい完成度」
コスプレーヤーに間違われているのか、でも真実を言わないとな。
「なあヒデミは何でこの部屋に来たんだ」
「ええとお兄ちゃんが中々帰って来なくて、音がしたから見に来たの。
まさかこんなにすごいコスプレーヤーとお友達になったなんてね!」
お前らが騒いだから、妹が此処にいるのか何故目を合わせん。
「ねえねえ二人とも下で朝食を食べましょう、大した物は無いけど食べていってね」
二人を連れて下に行く妹、俺はこの先どうしようかな?
朝食も終わり、2人と一度部屋に戻る。
「どうするんだ妹に存在がバレただろう!」
「だって隣に誰か居るっていわなかったんだもん」
「そうよ言わない旦那が悪いのよ!」
(旦那って言うな、妹が聞いていたらどうするんだ、とにかくは家を出るから何処にいる?)
「何で小声なの?」
(いいから小声で喋れよ、妹にバレない様にしてくれ)
(ならその鞄に入って、一緒に行くよ)
(そうだね賛成)
(仕方ない妥協しよう、隠れてくれ)
二人は小さくなって鞄に隠れる。
トントンドアがノックされる。
「お兄ちゃん、学校に行くよ!先に下に行くね」
妹が階段を降りて行く、俺も降りて玄関の外に。
「あれあの二人は?」
「先に出ていったよ」
「ウソ音しなかつたよね、あやしい」
妹は自宅に戻って中を確認してくる、少しして戻ってきた。
「居なかった、やっぱり羽で飛んでいったのかな〜凄い作りだったもん」
妹はまだ夢見る年頃で良かったよ、さて学校に行きましょう。
校門潜って教室に入ると、みんなの会話が止まる。
「みんなおはよう、どうかした?」
少しの沈黙の後、会話が始まる。
「何がおはようよ、心配してたんだから」
「そうだぞ、ニュースで一杯やっていたんだから」
「ネットニュースも凄かったよ」
「おとーさんと一緒に行ったのに、何で此処に現れるの?」
えぇ奏凪さん秋葉原に行っていたの?
「本当に五体あるんかよ」
男どもに触られる、キモいから辞めてくれ。
もみくちゃになった所で、二人が大人の格好で現れた。
みんな一歩下がって驚いている。
「お前たち、マサシをいじめるな私が相手をするぞ」
「同じく、私も相手をしてやる」
黒と白の霧が出てくる。
「何何どんな手品」
「凄いコスプレ、羽が動いている」
「なんか綺麗で近寄り難いわね」
「マサシといつ知り合ったの?」
「そうそうサダとどんな関係?」
みんなワクワクして答えを待っている。
二人は霧を出すのを止めて真面目な顔で答える。
「マサシとは昨日会った」
「私達二人はマサシの妻ですよろしくね」
また沈黙が訪れて、会話が始まる。
「嘘〜重婚」
「何でこんな綺麗なおねーさんがマサシの毒牙に掛かるんだ」
「嘘よね!サダ君を狙っていたのに」
「俺達にお裾分けは無いのかサダ」
騒いでいると、前の扉が開いて先生がくる、その瞬間二人は消える。
「君達席に着きなさい、今日は悲しいお知らせが有ります」
先生の声で、皆んなが席に座る。
「えぇと、皆さんのクラスメイトのサダマサシ君が上級ダンジョンに落ちて未だ行方不明になっています、ダンジョン庁や警察消防も探してますので見つかり次第連絡が有ると思います」
先生が言った後皆んなが俺を見る。
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