第100話 長い夜!
何故か頭の下が揺れている、それで目を覚ますと巨大な胸。
それが俺の顔を覆っている。
「カオリさん」
(黙って動かないで)
周りを何かが引きずっている音が聞こえる。
しばらくするとその音は止む、カオリさんは上体を起こして俺にも起きる様に言う。
(何の音だったんですか?)
(まだ見えるかな、先の方に動くものが見える?)
俺は先の方を見る、確かに何かが動いている。
(何ですあれ?)
(大型のヘビだったの、タマタマ先頭の方を見ていたら光が二個見えて、段々と迫って来たからよく見たら大型のヘビだったのよ、声を殺して見ていたんだけれどね」
カオリさんは震えている。
(なら此処の人達って、あのヘビを見て脱出出来なかったんですかね?)
(それしか考えられないわね、どうしよう出られるかしらね)
此処は何故か襲われる事は無い、なら魔法をもう一度補充して万全で臨みたいな。
(カオリさん、此処でまず完全休息してMPを完全に戻して挑みましょう。
MPは寝れば戻りますからね、食事もパンと飲み物は有ります安心してください)
(本当に大丈夫ですかね、此処は?)
(恐らくは大丈夫でしょう、あの骸骨は食べられてたら無いはずです、皆さん空腹で体力が無くなり餓死したと思います)
(この日本で餓死ですか、考えられませんね)
(はい、兎に角は体力とMPを戻しましょう、俺はまず魔法の指輪に貯蓄します)
魔法の指輪が光、又元の様になる。
(貴方と居ると知らない事ばかりね、こんなに不安で楽しいことって無いものね! これが本当の冒険なのね、後五年遅く生まれれば貴方の同級生だったのに残念よ!)
そして、菓子パンと飲み物を飲んで二人で毛布をかけて長椅子に寝る。
たまに大蛇の動く音がする。
俺は寝ながら考える、あの大蛇の魔石は何処にあるんだ、爬虫類を解剖した事がまるで無い、図鑑も見た事が無いよな!
眠って起きたら、凄い魔法が現れるといいのに。
俺は眠りに着く。
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「奏凪長官、防衛省の方がお見えになりました」
臨時の増設テントの奥に座る奏凪さんの元に柳生さんがやって来る。
「どうだ何か分かった事はあったか?」
「あゝ部下から聞いたら、まるでそこだけ何かが無くなって直ぐ塞がれた様だと、各地の中級ダンジョンで人が行方不明になる、現象と一緒みたいだ」
「そうか、なら自衛隊の特殊部隊を出しても見つからない事になるのか?」
「ミイラ取りがミイラになる格言通りになるかも知れない、特殊部隊の派遣は待っていてくれ、今民間でゴールドランカーを集めて救助部隊を結成している」
柳生さんは考える。
「分かった、何か有れば言ってくれ協力は惜しまないからな」
柳生さんは席を立ち外に出て行った。
「ふーう、全くダンジョンてーのは何なんだよ!また若者の血を飲み込むのかよ!」
昔の事と言っても10数年前に、若者も自衛隊の精鋭達も、冒険者の精鋭も上級ダンジョンに潜ったら、誰もこの地上に戻って来ない。
たまたま運が良い者だけが帰って来た。
「絶対に救い出すぞ、サダ君待っていろよ!」
外は慌ただしく動いている。
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「ネタネタ何処かにネタは落ちてないのかな、おおアレは防衛省の長官、やはりかなりの大ネタだな、大体中学生の初心者が居なくなっただけで騒ぐ事もあるまいに」
ダンジョン庁のテントで職員達を見ている週刊誌記者。
「あっちはどうかな、大物釣れたかな!」
所変わって、ブルードラゴン店舗。
「結構冒険者が集まってるね、ねえ君中の様子はどうなの?」
五人グループに声をかける。
「中?あゝあの話日給五十万円だってさ、ただそれでも参加者はあまりいないんじゃないかな」
「そうそうゴールドランカーの日給だと少し少ないかもね」
「まあ此処のお嬢さんの、不倫逃避行でお嬢さんだけ救出だなんてね」
「相手の男も可哀想だね、ダンジョンで置いて来いなんてね」
「中学生さんご愁傷様だねハハハ」
「情報ありがとう、これでご飯でも食べてね」
新米週刊誌記者は走ってダンジョン庁のテントに行く。
隅の方で見ている専務さんと主任さん
「行ったか?」
「ええ偽情報で喜んで帰って行きました、よろしかったんですか?」
「親父が、妹よりも相手を救え何て言えないだろう、ああいう輩には嘘で十分だと言っているんだ、会議の邪魔だしね」
専務は笑っている、本当は五千万でトップランカーを集めているサダ君の為に、妹はオマケだ。
「これで飲んでくれ、明日もこの辺の警備よろしくね」
記者に偽の情報を教えた冒険者達に何かを渡す専務さん。
シルバーランカー達は喜んで夜の街に消えた。
「さて時間が無い、早くみんな集まらないかな」
専務はトップランカーの到着を待っている。
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