第97話 人工物!

数が多いのは面倒だが、通路の狭さで回り込めないと思ったら、残った狼は柱の影から出て来た。


コイツら隠密か何かか、全然柱の影に隠れているのが分からなかった。


「さて困りましたね、後ろの三頭任して良いですか?俺は前方の死神と対峙します」

「ええ後ろは通さない様にどうにか守ります、さっきの狼一匹はどうなってます?」

「倒れてます、狸寝入りじゃ無いと良いんですけどね」


狼は動かない、死神は鎌を後ろに構えてこちらに歩み始めた。


俺は両腕を前に出して構える、段々と距離が近くなる。

「盾」

片方の死神を盾で止めて、もお一方の胸に「貫通」を打つ。

砕けてマントと鎌と魔石に成る、もお一方は盾にヒビを入れて来るが俺は「貫通」

でやはり倒す、同じくマントと鎌と魔石になる。


後ろを見ると、二匹がカオリさんを襲う所だ!

「貫通「貫通」を二頭の頭に打ち込む、怯んだ隙にカオリさんは一刀両断で切り捨てる、二頭とも魔石に変わる。


「大丈夫で良かったです、こちらもどうにかなりました、さあドロップした物を拾いましょう」

カオリさんが魔石を二個拾う、今度は俺の方を拾おうとマントに手をかけた瞬間、魔石にならなかった狼が、俺を襲って来た。

「スラッシュ」

風の斬撃が俺の頭を通り過ぎる、まだ致命傷では無いみたいで再度俺を襲って来る。

「貫通」

心臓に当たり今度は動きが止まる。魔物の形のまま地面を転がっている。


「ええと待ってください、収納」

そのままの形でアイテムBOXに入った、残りの鎌二個とマントと魔石を拾って一息つく。


「なんか飲みますか?」

「ええ頂くけど、貰ったらそこに正座しなさい、お姉さんから注意が有ります!」

えぇ何で? 正座何ですか? 年上って年下を正座させるんですか虐待ですよ。


「ほら水を寄越して正座しなさい、大体貴方は確認を怠りすぎです、見ていてこちらがハラハラします。それに…………………………分かりましたか!」

10分ぐらいカオリさんに、お小言を貰う。


「はい、気おつけます。まずはアイテムBOXに入るか確認してから近づきます」

「分かればよろしい、それとこれはご褒美」


何故か俺に抱きついて来た、胸が顔を覆う。

「安心した、まだ先は有るから頑張りましょうね」

少し胸の感触を味わうが、下半身変化して来た。


中学生にはきつい体制だ。


「よしでは行きましょう」

手を取って立ち上がるが、俺は腰を引いている。


「何を可笑しな格好で…」

俺の下半身を見て、言葉が止まる。


「ええと、私は体験無いけど色々と知っています、妻として少し協力しましょうか?

その辺で出しときます」

このお姉さんは、段々と俺を婿にしようとしている! 誘惑には負けないぞー。


カオリさんの誘惑を振り払い、俺達は先に進む!


戦闘に時間もあるだろうけど、二時間は歩いているはずだろう。

何故出口がないんだ、何かがあるはずなんだが?


先の方がライトで光、また魔物かと二人で柱の影に隠れる!


今回はこちらに近付いてこないので、またライトを付けて歩き出す。

光る物に近づくと放置された電車だった。


「こんな物が放置されているなんて、まさか人が居るって事は?」

「それは無いでしょう、ダンジョンが出来た時は皆さん脱出しましたから、電源がなくなって放置されたのでしょう」


苔の生えた車体を見るけど今度は、車体下や電車の中側上側と警戒する事が増えてな中々進まない、三両目を超えた時フッと思った。


「いつその事中を通れれば良いのにね」

「電源有りませんから、ドアは開きませんよ」 

そうだよね、確かに押しても開かない、もしかしてと俺はもお一度電車の端に戻る。


「ここなら開かないかな」

車掌か運転席か分からないがドアノブを回す!







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