第95話 メトロダンジョン
情報を教えて二人で隣の新御徒町駅を目指す、距離にして2kmぐらいだがダンジョンになっているのでどうなんだろう?
カオリさんは二言目には秘密を言えない、辛い、喋りそう嫁にもらってと連呼して来る。
俺はハッキリと油断は駄目だと言い聞かせて、先頭を歩いていく。
たまにスライムが出るけど、魔石を確認して放置して先に進む。
「待ってください何かが近づいて来ます、ライトを消して俺の裏に、柱の影に隠れましょう」
ドドドと何かが集団で近づいて来る、少しして音が止まる。
俺は顔を出して音の止まった方をみる、バッファローが五匹ほど止まっている。
何故か暗い中に、体が光を放っている。
(カオリさん、バッファローです、戦いますか?)
カオリさんは、顔を左右に振る。
(なら物音を立てずにじっとしていましょう)
しばらくすると、バッファローは来た道を戻っていく。
「うわー、良かった戻って行きましたよ」
「本当に、電車位有りましたか?」
「それは無いと思いますが、かなりの大きさでしたね」
俺はペットボトルを出して水を飲む、カオリさんはその水をジーと見ている。
「新しいのを差し上げますよ、喉が渇きましたか?」
黙って頷いたので、新しいペットボトルの水を渡すと、一気に水を飲むカオリさん。
「フー、上級ダンジョンだから緊張して喉が渇きました、ありがとうございます」
「さてどうしますか? あんなのがウヨウヨ居るんですかね?」
「あのねサダ様、上級ダンジョンの情報は冒険者の機密情報なの、だからおいそれと聴けないし、喋るゴールドランカーも居ないのよ!自分で潜って確かめるしか無いのよ」
これも上級ダンジョンが中々進まない原因なんだな、初級ダンジョンでさえ情報があまり無い、精々出る魔物ぐらいだ。
「では先に進みます、何か有れば先程と同じでライトを消して隠れましょう」
俺を先頭に進んで行くと、柱の影に光る物が見える?
(何だ、カオリさんすぐライト消して下さい、横の溝に隠れて)
「えっ何ですか?」
遅かった、バッファローが五匹柱の影から出て来る。
やはり俺達が居た事を感知していて、待ち伏せしていたんだな!
「カオリさん隠れて俺が退治します」
カオリさんは隠れないで、俺の後ろで刀を構えている。
「大丈夫、未来の旦那様を殺させはしない!スラッシュ」
俺の頭上を風の刃が通り抜けて、バッファローの群れを切り刻む。
先頭のバッファローが倒れ、残りがこちらに向かって来る。
俺は盾を唱えて足止め、そして一頭につき20発の貫通を飛ばす!
ブモー、ブモー、バッファローの最後の声!全てが倒れて横たわっている。
「死んだんですかね? もしかして狸寝入りかな?」
カオリさんに聞くと首を横に振っている。
「私の殺した一頭は魔石ですね、サダ様のは恐らくはそのまま死体としてドロップ品ですね、かなりの額になりますが持っていけますかね?」
まあよく見れば4tトラック位だけどどうにかなるだろう、俺は近づき手を添える。
全てをアイテムBOXに入れて、魔石をカオリさんに渡した。
「いらないです旦那様がお持ちください。将来は一緒になるのでから最初の共同作業です」
俺は確実にカオリさんの手に乗せて、首を振っておく。
「冒険者は自分の倒した魔物の物は、倒した人の物! それは初心者講習で習っているので俺は貰いませんよ、大切に持っていて下さい」
「分かりました、将来生まれて来る子供に見せます、お父さんとの初めての獲物だってね」
どおしよう、吊り橋効果かストックホルム症候群どっちだろう?前者だろうけど!
ここまで来ると此処を無事に出た後の事が問題になるよね。
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