第70話 イレギュラー!

後ろを向いた真正面に、大きな鎌とマントを羽織った骸骨が浮かんでいた。


「八木さん逃げて」

八木さんも振り向き死神を確認、振り下ろされた鎌を体を捻って避ける。


「何で此処に出るのよ、サダさん逃げるわよ走って!」

俺は手を引かれて出口に向かう、後ろを見ると死神が鎌を振っている。


「何でアイツは鎌を振って追いかけて来てるんです?」


「何処でも初心者ダンジョンにはたまにイレギュラーが発生するのよ、ただ戦わなければ逃げ切れるはず、途中で我々と言う目標を失うからね」

後ろを見ると離されないで追いかけて来る死神! 本当に逃げ切れるのか?


「これ戦わないでいいんですか、もし他の冒険者に貼り付けたら恨まれません」

「過去に遭遇した冒険者に目標を変えた話は無いわ、離れれば何処かに行くはずよ」

奈緒も走る俺たち!


「討伐をしないんですか?」

「死神は上級ダンジョンに出る魔物よ、初心者と武器の無いシルバーランクの職員で倒せるわけないでしょう、真剣に走ってよ」

八木さんシルバーランカーなんだ!


「手を離して二手に別れるのは出来ないですか?」

「手を離しても別れないの!イレギュラーの何かの能力見たい、それも無理だからただ走って離すしか無いのよ」

会話しながら走るから息切れしてくる。


「魔法ってアイツに効きます?」

「魔法なら何でも効くけど、そんな人ゴールドランカー以上にしか居ないわよ!」


なら試して見たい俺の魔法を!此処はダンジョンだしな。


「魔法ってどう発動するんですか?」

「魔法?魔法使えるの、魔力循環は分かる?」

この間やったよな、確かアイテムBOXの登録でやったよな。


「魔力循環は、一度出来ています、魔法の発動はどの様に出せるんです?」

「指先でも手の平でも相手に向けて唱えるのよ、魔法の中身だけでは無く種類が分からなければ魔法の名前を唱えても発動しないわよ、水だけで無く水流とかジェットウォーターとかね」


俺は自分の魔法名が見えている、なら唱えてもいいかな!

「盾」光が発せられ四角い平面が死神の前に現れる。


ガン、音と共に死神が弾かれて倒れる。


ただ盾も壊れたので、直ぐに立ち上がり又又追いかけてくる。


「やったー出来た、発動出来ましたよ八木さん」

俺は止まってガツポーズ! すぐ盾を発動すると死神は何度も鎌で盾を攻撃してくる。


今度の盾は、さっきよりも少し頑丈に発動できた!


「これってやはり攻撃判定になるの、戦わないと駄目なのね」

八木さんは呟き、ピーと笛を鳴らす。


「死神を攻撃しました、職員は武器を持って応援に来てください、場所は七ホール付近、場合に寄っては六に移動する」


全体にサイレンが鳴る、ウーウーウー。


「サイレン? 逃げましょう八木さん」

講習受けた時に、サイレンが鳴ったら退避だと習った。


「貴方が攻撃したと死神が判定したの! もう無理ね敵は攻撃判定をしたわよ、さっき言ったでしょう逃げられないの攻撃するとね!

貴方の盾は、敵に物理的攻撃をしたと判定されて、今も鎌を振っているでしょう!

ああなると倒すか、一時封鎖してゴールドランカーを呼ばないといけなくなったの! 

もう少し魔物の生態情報を研究した方がいいよ! コイツから逃げてダンジョンで生きていたらね」


物理攻撃の判定ってなんなんだ、ただ止めただけなのにな?

それと段々と盾にヒビが入ってきた。


次の瞬間パリン、盾が破壊される!俺はもお一度魔法をかけた。

「盾」また透明な盾が現れた。


死神は再度盾に攻撃を仕掛けて来た!


早く何処か行ってくれよ〜!














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