第57話 スライムのドロップ品

ならばと、俺はリュックから三つの品物を出す、巻物と箱が二つ。


皆んなの目がドロップ品に集まる。


「サダ様、写真を撮って良いですか?」

安達さんが聞いて来たので「どうぞ」と言っておく。


「安達さん、絶対に触らないでよ!良い絶対よ!」

八木さんは、強く念押す!


「大丈夫です、もし触って何か合ったら、サダ様のお嫁さんになって清算します」

「おいおい随分と高い結納金だな」

和久井さんが言うと、小声が聞こえる。


(そうかその手があるのか)

ボソッと八木さんが言う、皆んな八木さんを見ている。


「冗談ですよ皆さん、何もしませんからね」

焦る八木さん、半分は本気だろう。


「サダ様、定規を当てて寸法の計測の写真をお願いします」

俺は定規を各品物に当てて、写真を撮るのに協力する。


一通り終わると、又みんなが見てくる。

「ええと、巻物の使い方はどの様にやるか知っていますか?」


俺が聞くと和久井さんが答えてくれた。

「確か、オデコの所に持って行って、その書いてある文字を読むと発動するはずだ。

書いてある文字をよく確認してから唱えてくれ」


「声に出して言うんですね?」

「いや心で唱えても発動するはずだ」

俺はもお一度巻物の書いてある文字を確認する。

[秘伝の巻物 雷魔法Ⅱ]


最後のⅡは、(に)かな、それとも(ツー)または(セカンド)かな。

間違えると恥ずかしいので、まずは(に)心の中で唱える。


(秘伝の巻物、雷魔法Ⅱ)

俺の体が一瞬光ると、オデコに当てた巻物が消える。

そして皆んなの方を向くと、みんなが驚愕の顔で見ている。


「初めて見た、あんな風になるのね、安達さんビデオ回してた」

「まい大丈夫です」

どうした安達さん、返事が出来てないぞ。


「世界で20番目、日本国内初の覚醒者の誕生だな!」

「あゝ日本人なら3番目だが、国内では最初ですね」


聞くと、海外ダンジョンでは初期の頃日本人が潜って、巻物の入った宝箱を探して、覚醒者になったのが二人いるそうだ!

日本のダンジョンは安全基準が厳しく、一攫千金とはいかないので、海外に拠点を動かす上位冒険者が多いらしい、その中で偶々宝箱を見つけた冒険者が慣れたらしい。今は各国が、自国の国民を冒険者に育成中なので海外のダンジョンは、中々入れないらしい! 日本も同じだ。


「ではサダ君、ステータスと唱えてくれ、何かが出てくるみたいだ」

ステータスか、本当に小説か、マンガだね。


(ステータス)恥ずかしいので心で唱える。


何か白い枠と文字が現れた、本当にあるんだこんな事!


「おいおいサダ君、何か出て来たのか?」

「サダ様、止まってますが失敗ですか?」

あれおかしいな?


「ええと、見えませんか? 白い枠と文字が出ていますけど」

俺には見えているが、みんなには見えないようだ。


「見えてません、何か書いてありますか?」

「待て待て八木君、それは冒険者の秘匿事項だから聞くことはダメだぞ」

止める和久井さん、しかし八木さんは聞いてくる。


「私は専属担当としてサダ様の全てを、確認して置かなくてはなりません。

何かあったならば、どの様に対処するかも分からないのですよ!」


「ただな八木君、本当にそれは冒険者の秘匿する事なんだ、偽政者が間違えて彼を奴隷の様に使ったら不幸が訪れる、そうならない為にも聞く事はダメなんだ!」


和久井さんは静かに八木さんを諌める、確かに知りたいよねこの項目!











  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る