第29話 三日前の八木さん!
私は今日中央官庁街に来ている、あの件で合同会議だ。
各庁から何人かが来ている、省からも来ているだろう。
「八木くん、絶対に我々は妥協しないからな」
「はいダンジョン長」
「黒井くん、我らに過失はない、あるのはアイツらだからな」
ダンジョン埼玉支部長和久井さんは顎で相手を指す。
今回の事件の引き金、犯人たちの親玉防衛省の柳生さんだ。
「さて会議を始めますか、全員揃ってますね」
官房庁の楠木さんの音頭で会議は始まる。
「総理が来てませんけど」
名札があるので、和久井さんが聞いている。
「それは飾りです、まあ来ませんなので始めましょう、では今回の問題提起をダンジョン庁埼玉支部長お願いします」
「はい、今回お集まり頂きありがとうございます、まず皆様に見ていただきたい物があります、八木くん並べてくれ」
八木さんは、中央のテーブルに六個の金塊を置く。
「八木くんご苦労様、席に戻ってくれ、それで此処にある金塊ですが、黒井ダンジョン長の管轄するダンジョンから取れました、それも一日でです」
周りがザワザワし出す、
「そんな、なら新記録か?」
楠木さんの質問に和久井さんが答える。
「はい大きさ、回数とも世界記録です、今の所は!」
「今の所はと言うと?」
楠木さんが質問する。
「はい、その先の金塊があったかも知れないと言う事です」
またザワザワし出す、防衛省の代表は渋い顔だ。
「金塊はあったの?」
今度は国税庁の代表の日向さんが質問をして、答える和久井さん。
「日向代表、モニターにゴールドスライムは移ってました、冒険者と警備員と共にです」
「ならなぜ此処に無いんだ、七個目なら向こう10年は破られない記録だろう、冒険者は何をやっていたんだ、警備員でもいいでは無いか」
防衛省の代表は下を向き始めた。
「ではモニターの映像をご覧下さい、その後が本日の議題です」
和久井さんが言うと、八木さんがスイッチを押す。
全体に黒いカーテンが引かれて、暗闇の中映像が流れる。
「一匹から三匹目までは同じ冒険者です、五匹目から六匹目も同じ冒険者ですが討伐寸前の映像は有りません。そして七匹目です」
映像は、帰りの合図の蛍の光が流れて、冒険者を追いかけ、捕まえる警備員の映像が流れる、そしてゴールドスライムも移っている。
「もう少し詳しい映像を続けて流します、警備員の頭上カメラです」
冒険者を追いかける警備員、捕まって組み伏せられる冒険者、その先にゴールドスライムが確かに写っている、そして暗闇に消えていった。
「皆様に見ていただいた映像ですが、違和感がありましたか?」
「いやゴールドスライムがいなくなった事、それと終了なので冒険者が追いかけて警備員に阻止されたことかな」
警視庁の遠井さんが意見を述べる。
「ならもお一度ご覧下さい、音とタイマーにご注目して下さい」
蛍の光が流れて、タイマーは五分を指している、彼が手を振りエスカレーターの中程から飛び降りてフードコーナーの方に走り出す、まだ三分ある。
そして警備員が捕まえて引きずり倒す、一分三十秒の数字が残り警備員と彼がゴールドスライムを見ている。
残り四十五秒、スライム消える。二十秒、音楽とタイマーが止まる0
深い沈黙の後、和久井さんが話し始める。
「さて議題を提示させて頂きます、冒険者の権利と補償の件です」
和久井さんが、本日の議題を告げる、本当の会議の始まりだ!
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