第9話 今日こそ時給の壁を破る!

朝は学校で友達と喋って家に戻ってから、夕方ダンジョンに出勤。

自転車を駐輪場に置いて、精算所のテントの中の買い取り価格の確認。


「よし昨日と同じだな、今日こそ時給突破だね」

俺は知らなかった、上に行く俺を見ている人がいる事を。


屋上に着いて入場料を払って中に入り、エスカレーターで三階に降りていく。


「いるねゾンビ君、今日こそ俺の時給突破に貢献してくれよ」


とりあえずは通路のゾンビとスライムを退治していく。

映画館が集まるエントランスに行くと、今日は一体も居ない。

さっきのが、最後に残った奴らかな? すると一斉に扉が開きゾンビが出て来る。


「不味い、まだ完全に心の準備が出来ていない、ゲームセンターの方に逃げよう」

また野良のゾンビを少し退治して、クレーンゲーム機の陰で、エントランスの出口を見ている。


「やはり匂いで追いかけて来るのかな、これは不味いよ本当に」

俺は身を隠しながら考える。


「よしヒットエンドランだ、魔石は確か消えないはず、霧吹きで攻撃して逃げる。

今日の作戦はこれで行く」


俺はクレーンゲームの個体の裏から飛び出して先頭のゾンビ共に消毒液を霧吹きで吹きかける。


そして三十分後、全てのゾンビを倒した。


疲れた、それよりも早く拾わないといけないな魔石。

腰を落として拾っていく、半分ほど拾った所で俺は気づく。


「なんだスライムが俺の倒したゾンビの魔石を食ってやがる、返せお前達」

スライムを倒して魔石になるが、やはり色は赤か水色に! 三分の一か五分の一の金額に成り下がる。


「俺の努力をスライムが食いやがった、俺の三十分を返せスライム!」

怒っても仕方ないので冷静になり魔石を拾う絶対に時給の記録は更新したはず。


そしてもお一度エントランスに行って、映画館の各扉の中を覗く。


やはり居ないな、ならどれくらいで湧くか三十分ずつ覗いてみよう。


三十分後、まずは一体が徘徊している。

一時間後、二体のところと三体のところがある。

更に三十分、五体になった。

でももうすぐ俺が帰る時間となる。


「どうしよう、倒して魔石を拾って帰るか? それともこのまま精算して帰ろうかな」


俺は考える。


「・・・よし帰ろう、明日だ明日また来よう」


下に降りて精算所に行く。


みんな帰るので、精算所には二、三十人が並んでいる。

何故かジロジロと見られる俺?


なんでみんな俺を見ているんだ、何にも無い初心者だぞおかしい。


そして俺の番になる、昨日とは違う受付嬢だ。

ただ顔は笑顔だが、何故か鼻が動いている。


精算が終わり、お金を受け取って帰宅の途に着く。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「参った、鼻が曲がりそう、私の顔変じゃ無い」

俺を対応した受付嬢が隣の受付嬢に聞く。


「大丈夫よ、いつも通りよ」

「そおか、なら良かった、本当に辞めてはしいゾンビ退治」


「お疲れ様どう彼は新記録更新?」

いつもの受付嬢が背後から現れる。


「先輩醜いです、私に代われって夕飯食べたばかりなのに吐きそうです」

「まあまあこれも経験よ、それよりどうよ新記録?」


「はいかなり多いです、明日から単価を下げて心を砕いて辞めさせる方針で行きましょう。あの匂いには耐えられません」


「何言ってるの、大阪万博に石川県の地震の復興、それに熊本のITバブル建設需要それが上がる今が白い魔石の売り時よ、ドンドン買い取りしなさい」


「でもあの匂いには耐えられません!」

「耐えてこその受付嬢よ、私の様になりたかったら頑張りなさい」


「頑張って行き遅れですか?」

「貴女給料減らすわよ!」


「御免なさい」

「分かればよろしい、明日もこの時間頑張ってね」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


家に帰って玄関に入ると三人が何かを持っている。


「お姉ちゃん撃つわよ」 

シュー何かをかけられる。


「何だよ皆んな、失礼だろう!」


「何言ってるのアンタ臭いわよ」

「早々臭すぎよお兄ちゃん」

「もおお風呂入りなさい、今着ている洋服は袋に入れて置いときなさい。

別々に洗うからね」


「母さんも何だよ、何かあるのか?」


「臭いのよ」

「ゴミ以下の匂い」

「昨日より酷い悪臭」


あゝそれであの受付嬢さん、鼻が動いていたのか。

「仕方ないだろう、ゾンビを倒していたんだから、俺は分からないぞ!」


「それは貴方が花粉症で鼻が詰まっているからよ!」


あゝそれで分からない・・・何でやねん!
















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る