第3話 お宝か!

すぐにバットを離して、顔に付いたスライムを手で引き剥がし床に投げつける。


バシャ、またも潰れて魔石だけが残る。


「ほら全然大丈夫だっただろう、魔石拾って確認して!」

俺は二個の魔石を拾う。


「赤に水色だね」

「その水色を潰せば水が出るから貸してみろ、それと手を皿にして」


俺は言われた通りに、水色の魔石を姉に渡して、手を皿にして待っている。


「では潰すからね水が溜まったら顔を洗って、二回ぐらいは出来るはずだから」

俺の手の皿の上で姉が魔石を握て潰すと、水が滴り落ちて来る。


「溜まったら顔を洗え、途中で止められないからすぐ手を戻せよ」

俺は顔を洗う、そしてまた手を魔石の下に戻す。


「良かったな水色の魔石で綺麗になれたね、今度からは気をつけろよ!

今ので三十円の損失だからね」

何故か姉の顔が怒っている。


「水の魔石が三十円の価値しか無いのか?」

怒る程では無いはずなのに?


「価値はそんなもんだ、500mlの水だぞダンジョンで寝泊まりしない限り必要ないからな」


確かに日常生活では水道で十分だ、中級ダンジョン以上で無いと必要無いな。


初級ダンジョンは日帰り推奨で魔物の種類も二、三種類で。縦に長いか横に広いかしか無い、それにダンジョンボスも全然居ないとくる。


「さあ頑張って、サクサクと倒してくれよ二千円以上にならないと赤字だからな」


奢りじゃ無いのかよ入場料はさ、姉さん!



「そお言えば姉さん、魔石って簡単に潰せる物なの?」

「あゝ初心者では無理かもな、結構な力とコツが要るからな」


姉さんの馬鹿力じゃ無いのかね、と姉の手を見ていると。


「お前何かおかしな事考えて無いか? もしそうなら協力しないで先に行くぞ!」

「そんな事無いよ、頑張りますのでよろしく」


それからもゾンビとスライムを、倒して行く俺達。


「よし昼だから一階のフードコーナーに行くよ、そこも奢ってあげる」

何故に、こんなに気前がいいんだ姉さんは?


消臭スプレーをかけて、エスカレーターで下がって下に行く。

フードコーナーの前には、警備員が魔物が入らない様に、警備している。


「あの人達は専属なのかな?」

「あゝ給料の他に倒した魔石の収入もあるから、結構高級取りだね」


そうかそんな職業もあるのか。

「憧れるなよ、上位の冒険者はもっと高級取りだぞ」


「そんなに儲かるの?」

「全くそれすらも知らないで、冒険者始めたの?」


「母さんがお小遣いが増えて、姉さんが冒険者しろと言って此処に居るんだけどね」

少しの沈黙。


「よし何を食べる、中華定食が美味いよ」

話を逸らせたな姉さん。


「ほら食券、あっちに並ぼう」

仕方無しに姉の後に付いて、中華コーナーの所で食券を渡す。


出て来たトレーを持って空いている席に座り、食べ始める。

入り口を見てるとたまにゾンビが入って来る所を、警備員に霧吹きで退治されている。


「アイツら鼻が腐っているのに、食事の匂いで寄って来るんだ、全く食欲が無くなるよね」

「俺もそお思うよ」

なので外の風景を見る。


「あれ姉さん外を見て」

俺は行儀が悪いが、箸で外を差す。


万歳している冒険者と職員がいる。

「遅かったか、今日一のゴールドスライムが出てしまったか! あーあ」

姉の箸が止まり下を向いている。


「何が会ったの?」

「あの儀式は、ゴールドスライムの魔石が届いて鑑定してから、100万円以上になった時に行われる物よ、もう今日はゴールドスライムは出ないの!」


箸を握りしめて折る姉さん、やはりあの水の魔石は握力で潰したんだな。


「仕方ない残りの時間は、腰袋に詰めるだけ詰めて即金して帰るからね、頑張りましょう」

姉は笑顔だが、米神あたりがピクピクしてる。


「あゝ残り時間は、頑張るよ姉さん」


そして食べ終わり、フードコーナーを出て今度は。エレベーターで上に戻り戦闘を再開する。


何匹目かのゾンビを倒して行くと、変な奴が現れる。

「姉さん、アイツ光って無いか?」

「えっ、すぐ霧吹きかけてもしかするとお宝よ!」


俺は光るゾンビに消毒液を霧吹きでかける、下から金色の骨が現れる。


「やった、ゴールドゾンビよ、宝くじの一等当たったわね」

でも床に吸われそうになっている。

「ほら頭の方持って、全力で無くなる前に外に出るわよ」


死んだ物は地面に吸収される前なら、外に持ち出せる。

人間の死体も吸収される前なら、外に出せるが大抵は地面に吸収される。

それが行方不明の人の原因である。


俺達は全力で外に走った。





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