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「(グガガガガガガガアアア……)」
言葉ではない悪魔の雄叫びが、脳に直接響いた。
ぼくは両手両足を触手に絡みとられ、身動きがとれない。触手がぼくの身体を、ぎりぎりぎりと強い力で締めあげる。身体が外に向かって引っ張られる。
「うぎゃああああああああ!」
ぼくは悲鳴をあげた。
やばい。
こいつはピンチだ。ほどけない。手足がもげる。引きちぎられる。
ぼくはどこかに飛ばされそうになる意識を、無理やり精神力だけでつなぎ止めていた。
「(グガガガガガガガガ……)」
悪魔の雄叫びが闇の世界を震わせた。
同時に。
ふわりと身体が浮く感覚になった。上方向に景色が流れる。やつが、ぼくの身体を頭上高くに持ちあげたのだ。
まずい。
薄目を開けると、はるか下方でゴウの肉体が悪魔のなかに吸収されて沈んでいくのが確認できた。ゆっくりとやつの身体がコアと一緒にピンクのなかに隠れていく。今はもう首から上のアフロ頭しか露出してない。
このままじゃ、ゴウが悪魔に殺されちまう。
だが、ぼくはぼくで、今にも意識を飛ばされそうだ。絡みつく触手からは抜け出そうにも抜けられない。
いや。たとえ運よく抜け出せたとしても、この状況でどうやって巨大悪魔を倒す?
やつを破壊し消滅させることができる唯一の弱点であるコアは、ゴウの胸の中心にあるのだ。
これをもしユメ・ブレードでつらぬいてしまったら、確実にゴウの命を奪ってしまう。これでは悪魔を倒しても、ゴウを救い出すことはできない。ミヅカさんの涙を止めることもできない。こんな結末は、誰も望んでなんかいない。
それなら、どうする……?
ぼくは激痛に耐えながら、使えない頭を必死で回転させる。10点や12点の解答じゃダメだ。確実に助ける方法を見つけなければ。
ぐるぐるぐるぐる。頭をまわす。
ぼくの頭じゃ答えは出ない。
どうしよう。
病院でミヅカさんに言われた、キツイ言葉が頭をよぎる。
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