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一時間目の体育はサッカーだった。
ぼくは遅れて校庭に出た。みんなはすでに集合している。すでに始業のチャイムは鳴り終わっていた。
ぼくが遅れた理由としては、ゴウとスナオの鞄を教室の彼らの席においていたから。あいつらは、野田先生がいなくなるとすぐにぼくをパシリにする。
「はあ、嫌だなあ」
ぼくはサッカーが得意ではない。というより、そもそも運動自体が苦手なのだ。
校庭に出て、コンバースの靴をトントンしてると、遠くからゴウに呼ばれる。
「おーい。メイヤ、いったぞー!」
「ほえ?」
あわてて顔をあげる。目のまえにはサッカーボール。
「ぐえっ」
顔面直撃。うしろに倒れた。
「ハラホロヒレハレ……」
頭のうえで星とヒヨコがくるくるまわる。倒れたときに頭もぶつけた。生ぬるい鼻血まで出てきているようだった。
「あちゃあ……」
あきれたみたいなスナオの声が耳に届いた。
「本当に運動神経ねーな、メイヤは」
はあ……
痛い……
最悪だ……
空の青さが赤に染まる。
目玉がぐりんとひっくり返る。
ぼくの意識がぷつりと途切れた。
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