6

 一時間目の体育はサッカーだった。


 ぼくは遅れて校庭に出た。みんなはすでに集合している。すでに始業のチャイムは鳴り終わっていた。


 ぼくが遅れた理由としては、ゴウとスナオの鞄を教室の彼らの席においていたから。あいつらは、野田先生がいなくなるとすぐにぼくをパシリにする。


「はあ、嫌だなあ」


 ぼくはサッカーが得意ではない。というより、そもそも運動自体が苦手なのだ。


 校庭に出て、コンバースの靴をトントンしてると、遠くからゴウに呼ばれる。


「おーい。メイヤ、いったぞー!」


「ほえ?」


 あわてて顔をあげる。目のまえにはサッカーボール。


「ぐえっ」


 顔面直撃。うしろに倒れた。


「ハラホロヒレハレ……」


 頭のうえで星とヒヨコがくるくるまわる。倒れたときに頭もぶつけた。生ぬるい鼻血まで出てきているようだった。


「あちゃあ……」


 あきれたみたいなスナオの声が耳に届いた。


「本当に運動神経ねーな、メイヤは」


 はあ……


 痛い……


 最悪だ……


 空の青さが赤に染まる。


 目玉がぐりんとひっくり返る。


 ぼくの意識がぷつりと途切れた。

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