第19話 レヴィルナVSセグリッド

プラムとオルトが闘っていた時、あの犬猿の仲の二人も闘い始めていた。



「私に倒されるのは次で二度目かしら?」


「さて、俺には何の事だか?闘うのは入学試験以来じゃぁないか?」




光を断ち切る闇魔法と、闇を照らし出す光魔法。


相反する性質の魔法使いが、互いを倒さんと対峙している。



、、、



「ブラックセパル!」

「ライトファントム!」


、、これは、条件付き魔法、私が攻撃を防げば防ぐほど私の分身が増えていく魔法。


、、この魔法は、光を曲げてありとあらゆる方向から虚像を見せる魔法。





「「その魔法は攻略済みだが(だけど)?」」


「ホワイトプレス!」

「ダークネス!」


、、っち。防がれたか。分身が増ちまったな。


だがこれは小手調べだ。



、、、



「「スピードアップ!」」


、、向こうも私と同じ戦法のようね。高速戦闘は私の方が上手なはず。


、、互いの防御がし難い高速戦闘で勝負を決める!



ザッ、


ザザッ、、


互いの足音のみが支配する空間。



、、俺は、攻撃を防がれた分だけ当てればいい。


、、奴の攻撃を防いで分身が増えれば勝ちは確実ね。



互いに読み合いながらにじり寄る時間が続く。



、、、



「ダークボール」

「フラッシュ」


、、今!いけるぜ!



、、、


この世の魔法使いはほとんど、魔法を使う時に停止する。


その際に生じる隙は対人戦闘において仇となる。


、、、



ダダッ



、、ふふっ、ブラフに引っかかるなんて、、、滑稽ね。


私が魔法を使った後動けないなんて誰が言ったのかしら。



「ダークネスレイン」



ダダダダダダダダダ、、、、



、、なんてね、残念、、、君が攻撃しているのは俺の虚像だ。




「ホワイトプレスレイン!」


、、この魔法はただ光を当てるだけの魔法。


しかし光には圧力が存在し、集まることで鉄をも潰す圧力となる!



ピカッ、、、



ドオォォォン、、、、、



「これで終わりだな。」



、、でも、、、それは分身よ。




セグリッドの真後ろに現れるレヴィルナ。



、、いつの間に!、、、俺のもう一つ先を考えて待ち伏せだと?!



「闇の霊よ、虚無によって彼の者を包みたまえ」



、、なっ、、、霊魔法だと、、、


ここで仕留める気か?!



、、、


霊魔法、それはこの世の理を司ると言われる生命体へ魔力を捧げ、この世の理に反した現象を起こす方法である。


厳密に言えば、魔法ではない。


ただしこの世の理自体が変化することで強制力が働き、どの魔法よりも強力となる。


、、、



、、だが、、、猶予はあと5分もある。それまでにあいつを戦闘不能にせねば。




霊魔法の唯一の弱点、それは発動するまでに時間が掛かるということ。最低でも1分、魔法の程度によっては一年間掛かった記録も存在する。しかも発動者が気絶してしまえば中断される。



だが、、、この魔法を使いこなせてしまうのが、レヴィルナ・オブセルのインタルクラストップたるゆえんである。


読み合い、タイミングから挑発や魔力コントロールまで、全てが彼女の脳内で計算され、最善が出力された結果である。



もとより、セグリッド・ブレイムに読み合いでの勝算はないのだ。






「カオス・シフト!」


、、この魔法であいつの視界を塞ぐ!




一面に展開するスナアラシの空間。


不規則に変化する光の波長、そして方向。


視覚からの情報が八割を占める人間にとって、感じるのはただただ混沌である。



この魔法の効果範囲は、半径100メートルに及ぶ。


これはセグリッド・ブレイムのハブズたる魔力量の為せる技である。




、、んなっ、、、視界が崩れていく?!一面が灰色に?!


「フィールアップ!」



カサカサッ


、、聞こえた!、、、後ろ?!



レヴィルナの振り向いた目の前には回転する剣が迫っていた。



ガギ、


、、はぁ、危ない。




となるはずだった。




スカッ



、、なぜ?




ブシュッ、、、



、、なぜ私の斧で防いだはずの剣が腹に当たる?!



ボタボタボタボタボタ、、、



彼女は、セグリッドの最初の魔法、ライトファントムを考慮していなかった。


彼女にとっての唯一の弱点は、想定外である。


人間は、反射的に判断を下すことが多々存在する。


剣が縦に回転すれば横に構え、また逆も然りである。



セグリッドはあえて、剣を投げ、回転させることで無意識のミスリードを生んだのだ。



バタッ



レヴィルナは混乱と共に意識を手放した。





なお、彼女が気絶した後、セグリッドは手持ちのポーションでレヴィルナの傷を塞いだ。


流石は光り輝く魔法使い、紳士である。

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治癒魔法使いの僕、知らぬ間に物理最強になってました。 風で翔ぶ @yutoky

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