第19話 お、おう
☆
時間が経った。
それから土曜日になり俺は待ち合わせ場所に向かってから待ち合わせ場所で待つ。
すると双海が駆け出して来た。
満面の笑顔を向けてくる。
「双海」
「洋二さん。待たせましたかね?」
「...いや。俺が先に来たんだよ。すまない」
「そうですか...」
「ああ」
そう話しながら俺は双海を柔和に見た。
双海は俺を見てから笑顔になってからまた寄り添って来る。
それから俺を見つめてくる。
「洋二さんとのデート楽しみです」と言いながらだ。
「俺もお前とのデート楽しみだよ。本当に」
「有難う御座います。それからお誘いありがとう御座いました」
「...ああ」
「...こんな場で切り出したくはないんですが。でも今話しておきますね。海の事です」
「海と服を選んだって聞いたりしたけど。お前も色々と大変だったな」
俺はそう話しながら目線を横に向ける。
すると双海が「大丈夫です」と苦笑してくる。
それから双海は歩き出した。
俺は後ろを付いて行く。
そして双海に聞いてみる。
「双海は...どう接したい?アイツに」
「私は...海が真面目にやれば何でも良い。最近はそう思う様になったかな」
「...浮気とか無しでな」
「そうだね。でもまあ重々反省したみたいだけど。...だって海は絵ばっか描いているから」
「だけど油断は禁物だね。気を抜いたらまた浮気は考えられるから」と双海は言う。
俺はその言葉に頷いた。
それからデパートに着いたが何処に行くのだ?
「なあ。どこに行くんだ?」
「実は有名絵画を集めた展覧会がデパートの画廊でありまして。行きませんか。まだ時間ありますよね?」
「成程な。だからこの場所に来たんだな?」
「そういう事です。あはは」
見上げる先のデパートの横断幕を見る。
確かに(絵画展示会開催中)と書かれていた。
俺はそれを見てから双海を見る。
すると双海が俺の手を握ってきた。
「お、おい」
「今日はデートですからね」
「...まあそうだな」
「...例え洋二さんが私に振り向かなくても私は洋二さんが好きなので」
「...」
俺はその姿を見ながらデパートの8階に向かう。
そこでは絵画が展示されているスペースがあった。
決して有名な絵画では無い。
それにレプリカだ。
だけど...充実した時間が流れる。
「...」
「綺麗ですね。やはり」
「...そうだな。...なあ。双海」
「はい。何でしょうか」
「...海は...どんな絵を今描いているんだ」
「この前見たときは大海原の絵を描いていました」
「それはどういう心境か分かるか」と俺は聞いてみる。
すると双海はレプリカコーナーで実際に触れる絵に触っていた。
それは...大海原の絵。
俺はそんな姿を見ていると「写真撮ってくれますか。洋二さん」と双海が言う。
「...撮影オッケーらしいので。...お姉ちゃんに持って帰ります」
「...そうか」
「海の心境は全く分かりません」
「...」
「だけどこの絵に触れる事で何か考える部分があればと思います」
そんな言葉を言いながら複雑な顔をする双海。
それから「取り合えずこのままの心境では自殺も考えられるのでそこまで至らせない様にします」と言う。
俺は「だな」と返事をした。
「...このまま死んでもらっては死に得なので」
「...」
「私は絶対に許せませんしね」
「そうだな」
そして俺達はその場を離れる。
それから絵を観てまわった。
全て観終わった後に俺達は休憩も兼ねて休憩室に向かう。
そうしてから飲み物を買った。
「カフェオレ好きですね」
「甘ったるいのが性に合ってな」
「...洋二さんらしいです。ホワイトな感じが」
「...そうか」
それから俺達は一息つく。
そして人の流れを模索していると...何か。
人込みに紛れるパーカーの怪しい影があった。
というかあれは...うん?
「...海かあれは?」
「...え?そんな馬鹿な事って有ります?」
何か俺達を観察している様に見える。
まさかとは思うがバレてないと思っているのか。
そんな事を考えながら俺達を見失ったのか周りを見渡しているパーカー人間を見る。
そして「何をしているんだか」と思う。
「...ああいう性格がありながら。何故...裏切ったんですかね」
「さあな。しかし分かった以上は目立った方が良いよな」
「...ですね」
俺達はペットボトルをごみ箱に捨てる。
それから手繋ぎをしてからそのままパーカー人間の前に出る。
するとパーカー人間は俺達を見つけてから陰に隠れてコソコソ付いて来た。
サングラスにパーカーを被っている。
マスクをしている。
目立ちすぎ...。
俺達はその姿に苦笑いを浮かべながらそのまま歩いてからデパートを後にしてからそのまま映画館の方角に向かって歩き出した。
俺と双海+1状態でだ。
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