第17話 夢が潰えた少女


やれやれ。

私はそう思いながら世界を見渡す。

それから学校に登校した。

テストもそこそこで金曜日になった。

結果としては私は最高点となった。


だから大丈夫なのだが問題は海だ。

海は...停学になったのでテストの点数が分からない。

ギリギリ滑り込みでテストを受講しているが...だ。

私はそれを考えながら学校に来る。


「おはおは」

「ユメカ。おはよう」

「...大変だね。学校中で...色々噂になってるよ」

「...そうだね」


周りの視線は私に集まっている。

それをユメカが払っている様な感じだ。

正直私もいつまで持ちこたえるか。

そんな事を心配しなくてはならないだろう。


「何かあったら」

「...?」

「何かあったら必ず言ってね」

「...うん。その時は必ず」


そう言いながら私は心配しているユメカを見る。

そうしていると対面から湊先輩がやって来た。

湊先輩は私を見てから。

その次にユメカを見てから「おお。ユメっちじゃん」と目を丸くする。

知り合いか?


「知り合いですか?お二人」

「そうだねぇ。...ユメっちは...その。サッカー部だったよ。サッカーの教室にも通っていた。つい3年前まで。私がサッカー教室の部長だったしね」

「...ユメカ。辞めたのそれ?聞いてないよ」

「...アハハ。親が厳しくてね」


ユメカはそう言いながら「続けたかったんだけどね」と本音を漏らす。

その様子を見ながら「...湊先輩。知り合いだったんですね」と湊先輩を見る。

湊先輩は頷きながらユメカを見る。

それから「でも今は陸上に入っているんだよね?ユメっち」と湊先輩はユメカに聞きながら笑みを浮かべる。


「そうですね。何か身体を動かしたかったので。それが出来ますから」

「...そっか。...ユメっちも頑張っているんだね。偉いぞ」

「...ですね」


笑顔になるユメカ。

だけどどこか寂しげな笑顔だ。

そして私達は「ちょっと用事があるから」とそのまま湊先輩と別れた後にユメカを見てみる。

ユメカは何か寂しげな顔だ。


「ユメカ。どうしたの?」

「いや。サッカーをもうちょい続けたかったなぁって今でも思っちゃってね」

「...家の事で辞めたって話したよね。...サッカーは」

「うちは教師の一家なんだよね。だから女子は淑女であれとか言われていて」

「...」

「それで厳しい。サッカーなんて男の子がするスポーツじゃないかって感じで」


うちはまだ甘い。

だからこそこういう話を聞くと真っ先に洋二さんが思い浮かぶ。

私はそう思いながらユメカを見る。

それから教室に歩いて行く道を見た。


「...本当は陸上も反対されている」

「そっか」

「...でも恋に突き進む双海ちゃんを見て思った」

「何を?」

「私ももう少しだけ自由でも良いんじゃないかってね」

「...」


私はそんな言葉を聞きながらユメカと一緒に教室に行く。

それから私は教室に入ってからユメカと別れてから席に座った。

そしてそのついでに外を見る。

桜がもうちょっとで咲きそうだ。

もう直ぐ...延期していたデートだな。


「...」


そう考えながら私は外を見る。

そこには桜並木が広がっている。

取り敢えずデート...複雑にならない様に祈りたい。

思いながら私はデートプランを心の中で唱えていた。



私は放課後になってから洋二さんに先に帰ってもらい。

ショッピングセンターにやって来た。

何故ショッピングセンターかといえば簡単だ。

デートに着る服を探す為。


「...」


そしてショッピングセンター内を歩いていると「...双海?」と声がした。

私は驚愕して顔を上げる。

丁度、文具屋。

そこの表に海が居た。

コンテとか手に持っている。


「...お姉ちゃん。絵描きの道具を買いに来たの?」

「まあ...うん。停学中だからあまり外に出ちゃいけないけど」

「良いんじゃない?死ぬ訳じゃ無いから」

「まあそうだけど」


私はコンテを見る。

そんな海に聞いてみる。

「やっぱり絵を描く消しゴムはパン?」という感じでだ。

海は「うん」と返事をしながら答える。


「炭は...パンが消しやすい。私は」

「というか海にそんな下書きとか必要無いと思うけど」

「...下書きは必要だよ。まともに描くなら」

「...何故そこまでやりたいと思えたの?」

「分からない。私が馬鹿だからじゃないかな」


そんな事を言いながら俯く海。

私はその姿に考え込んでいると海が聞いてきた。

「そういえばこの場所に来た理由は?」という感じでだ。

ハッとする私。


「海に頼みがある」

「...どういう頼み?」

「私はセンスがない。...服のセンス」

「...あ。もしかして洋二とデートとか?」

「...!...そうだね」


しまった。察されてしまった。

私は返事を考えていると海は目線を横に向ける。

「私が服のセンスあるから」と言った。

それから私に向いてくる海。

海は頷く。


「...後悔しない様なセンスにする。大丈夫だから」

「...ゴメン。付き合わせて」

「私のせいぜいの贖罪だから問題はないよ」

「...」


私はその言葉に海を見る。

海は「ちょっと買って来る」と言いながらそのままレジに行く。

それから画材を現金で購入してからレジからビニールを持ってやって来た。

「ゴメン。お待たせ」という感じでだ。

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