第17話 夢が潰えた少女
☆
やれやれ。
私はそう思いながら世界を見渡す。
それから学校に登校した。
テストもそこそこで金曜日になった。
結果としては私は最高点となった。
だから大丈夫なのだが問題は海だ。
海は...停学になったのでテストの点数が分からない。
ギリギリ滑り込みでテストを受講しているが...だ。
私はそれを考えながら学校に来る。
「おはおは」
「ユメカ。おはよう」
「...大変だね。学校中で...色々噂になってるよ」
「...そうだね」
周りの視線は私に集まっている。
それをユメカが払っている様な感じだ。
正直私もいつまで持ちこたえるか。
そんな事を心配しなくてはならないだろう。
「何かあったら」
「...?」
「何かあったら必ず言ってね」
「...うん。その時は必ず」
そう言いながら私は心配しているユメカを見る。
そうしていると対面から湊先輩がやって来た。
湊先輩は私を見てから。
その次にユメカを見てから「おお。ユメっちじゃん」と目を丸くする。
知り合いか?
「知り合いですか?お二人」
「そうだねぇ。...ユメっちは...その。サッカー部だったよ。サッカーの教室にも通っていた。つい3年前まで。私がサッカー教室の部長だったしね」
「...ユメカ。辞めたのそれ?聞いてないよ」
「...アハハ。親が厳しくてね」
ユメカはそう言いながら「続けたかったんだけどね」と本音を漏らす。
その様子を見ながら「...湊先輩。知り合いだったんですね」と湊先輩を見る。
湊先輩は頷きながらユメカを見る。
それから「でも今は陸上に入っているんだよね?ユメっち」と湊先輩はユメカに聞きながら笑みを浮かべる。
「そうですね。何か身体を動かしたかったので。それが出来ますから」
「...そっか。...ユメっちも頑張っているんだね。偉いぞ」
「...ですね」
笑顔になるユメカ。
だけどどこか寂しげな笑顔だ。
そして私達は「ちょっと用事があるから」とそのまま湊先輩と別れた後にユメカを見てみる。
ユメカは何か寂しげな顔だ。
「ユメカ。どうしたの?」
「いや。サッカーをもうちょい続けたかったなぁって今でも思っちゃってね」
「...家の事で辞めたって話したよね。...サッカーは」
「うちは教師の一家なんだよね。だから女子は淑女であれとか言われていて」
「...」
「それで厳しい。サッカーなんて男の子がするスポーツじゃないかって感じで」
うちはまだ甘い。
だからこそこういう話を聞くと真っ先に洋二さんが思い浮かぶ。
私はそう思いながらユメカを見る。
それから教室に歩いて行く道を見た。
「...本当は陸上も反対されている」
「そっか」
「...でも恋に突き進む双海ちゃんを見て思った」
「何を?」
「私ももう少しだけ自由でも良いんじゃないかってね」
「...」
私はそんな言葉を聞きながらユメカと一緒に教室に行く。
それから私は教室に入ってからユメカと別れてから席に座った。
そしてそのついでに外を見る。
桜がもうちょっとで咲きそうだ。
もう直ぐ...延期していたデートだな。
「...」
そう考えながら私は外を見る。
そこには桜並木が広がっている。
取り敢えずデート...複雑にならない様に祈りたい。
思いながら私はデートプランを心の中で唱えていた。
☆
私は放課後になってから洋二さんに先に帰ってもらい。
ショッピングセンターにやって来た。
何故ショッピングセンターかといえば簡単だ。
デートに着る服を探す為。
「...」
そしてショッピングセンター内を歩いていると「...双海?」と声がした。
私は驚愕して顔を上げる。
丁度、文具屋。
そこの表に海が居た。
コンテとか手に持っている。
「...お姉ちゃん。絵描きの道具を買いに来たの?」
「まあ...うん。停学中だからあまり外に出ちゃいけないけど」
「良いんじゃない?死ぬ訳じゃ無いから」
「まあそうだけど」
私はコンテを見る。
そんな海に聞いてみる。
「やっぱり絵を描く消しゴムはパン?」という感じでだ。
海は「うん」と返事をしながら答える。
「炭は...パンが消しやすい。私は」
「というか海にそんな下書きとか必要無いと思うけど」
「...下書きは必要だよ。まともに描くなら」
「...何故そこまでやりたいと思えたの?」
「分からない。私が馬鹿だからじゃないかな」
そんな事を言いながら俯く海。
私はその姿に考え込んでいると海が聞いてきた。
「そういえばこの場所に来た理由は?」という感じでだ。
ハッとする私。
「海に頼みがある」
「...どういう頼み?」
「私はセンスがない。...服のセンス」
「...あ。もしかして洋二とデートとか?」
「...!...そうだね」
しまった。察されてしまった。
私は返事を考えていると海は目線を横に向ける。
「私が服のセンスあるから」と言った。
それから私に向いてくる海。
海は頷く。
「...後悔しない様なセンスにする。大丈夫だから」
「...ゴメン。付き合わせて」
「私のせいぜいの贖罪だから問題はないよ」
「...」
私はその言葉に海を見る。
海は「ちょっと買って来る」と言いながらそのままレジに行く。
それから画材を現金で購入してからレジからビニールを持ってやって来た。
「ゴメン。お待たせ」という感じでだ。
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