第16話 正樹と明那の関係
そして風呂に入ってから俺は考えた。
正樹に相談しようと思いメッセージを正樹に送った。
すると正樹は(おう)と返事をくれた。
俺はその正樹に今までの事を説明してみる。
(ああ。そうなんだな)
(...ああ。正樹的にはどう思う)
(俺は...そう言えば言い忘れていたが)
(うん?何だ)
(俺はその須藤明那さんに告白された)
顔がちゃぶ台に落ちた。
頭を打ってしまった。
それから「何ィ!!!!?」と声を上げる。
そして画面をタップしまくってからメッセージを書いた。
直ぐに送信する。
すると正樹から(落ち着け)とメッセージが届く。
(正直、須藤明那さんとお前の事がそんな感じだとは知らなかったんだ)
(で...お前はどうしたんだ)
(受けた。...告白されたから)
(いやいやそんな大事な事は早く知らせろ。いい加減にしろ)
(どうでも良いだろ。俺の事なんぞ。問題はお前の事だ)
(素通りするな。半分血が繋がった妹だぞ)
(ああ。それもそうか)
(妹の事は気になるわ!)とツッコミを入れる。
すると正樹は頭をボリボリ掻く様なスタイルの猫のスタンプを送ってきた。
それから数十秒経ってから(分かった)と返事をくれた。
そして説明し始める。
(実はな。俺は彼女と教科書が散らばっていたのを拾って知り合ったんだ。まあ...運命的な出会いってやつかな)
(...お前がそんな事になっているとは何一つ思わなかったぞ)
(そりゃお前がその場に居なかったからな)
(何で話をしなかった)
(いや。お前に関係あるとは思わなかったから)
(...ああ。まあそう言われたらそうだな)
そう返事をしながら俺は額に手を添える。
それからボリボリと後頭部を掻きながら画面を見た。
すると正樹は(悪かった。話せば良かったけどあの子は恥ずかしがり屋だから)と返事を寄越す。
俺はその言葉に(そうか)と返事をする。
(でもいつかお前に話したいって言ったら明那さんは「だね」って返事をしてくれたんだ。それから今に至る訳)
(まさかお前なんぞが付き合うとはな)
(俺なんぞとは何ぞ。お前な)
(冗談だ。だけどおめでたい)
(そうだな。明那さんもそのうちに話すだろう。俺から説明せんでも)
そして正樹は(まあそれは良いとして)と話を切り返した。
それから真剣な感じなメッセージ。
(お前はどうしたいんだ。これから)と聞いてくる。
俺は真剣なその言葉を受けてから考え込む。
そうしてから画面をまたタップした。
(正直俺は海を許す気は無い)
(ああ)
(だけど俺は双海と同意見だ)
(つまり?)
(俺はアイツが変わろうとする姿を認識している。もう少しだけ観察してみてから状況を判断する)
(お前らしいな)
正樹はそう言いながらクスクス笑っている様なキャラのスタンプを押してくる。
そんなスタンプに(ああ)と返事を書いた。
すると正樹は(でもごめんな)と打ってくる。
俺は「?」を浮かべた。
(お前に早めに報告するべきだった)
(...ああ。付き合っている事をか)
(そうだ。...まあでも...今回は複雑だったしな)
(そうだな。結構複雑だったしな)
そして正樹は(だけど報告するべきだった。俺が付き合っている事をお前という相棒にな)と書いてくる。
俺は三日月を見る。
それから(しゃーないな。お前だし)と苦笑しながらメッセージを書く。
(優しいな。お前)
(内緒にしたかったんならしゃーない)
(...そうだな。サンキューな)
(お前だし)
そうしてから俺達は雑談を交わしてからそのままメッセージを閉じる。
それから翌日になってから何故か朝一でインターフォンが鳴った。
俺は「?」を浮かべてドアを開けて驚愕する。
何故なら。
☆
「...お前...」
「...おはよう。洋二」
朝早くに驚愕してしまった。
何故ならその場所にパーカー姿の海が居た。
俺を見てから布に包まれた何かを渡してくる。
それは...お弁当の様だが。
「私じゃない。勘違いしないでね。作ったのは双海だから」
「...そうか」
「...私は料理が出来ないし」
「何故お前が双海の作ったお弁当を?」
「少しは貢献したかったから。双海に」
「...」
俺はその顔を見ながら溜息を盛大に吐く。
それから顔を横に向けている海に「...俺も双海と同じ気持ちだ」と告げる。
すると海がこっちを見た。
そうしてから目線を今度は下に向ける。
「...お前の裏切りは半端じゃない程痛い」
「...」
「...お前の気持ちは分かる。そしてお前の事も知っている。だけど周りはもっと傷付いている」
「...そうだね。私が愚かなだけだと思う」
言いながら海は「...じゃあ」と言いながら立ち去ろうとする。
俺はその背中に「だがな」と声を掛ける。
すると海は途中で足を止めた。
それからこっちに振り返る。
「お前の絵が好きだ。...その事も双海とは同意見だ。決して諦めるんじゃねーぞ」
「...洋二...」
「お前の絵だけは世界で一番好きだ。だから諦めるな」
「...そう」
そう言いながら海はカンカンカンと音を立ててボロアパートの階段を降りて行く。
俺はその姿を見届けてから「今日も頑張るか」と呟いてからそのまま朝食を食ってから家を出た。
それから俺は玄関に鍵を掛けた。
そして歩き出す。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます