第6話 婚約破棄
☆
私はお姉ちゃんに味方する事はこれから先は無い。
そう。
あくまで私は自分自身の考えを貫こうと思っている。
だからこそ私はこうして洋二さんに接触している。
これから先はお姉ちゃんには大きくは配慮はしないつもりでいく。
「屋上で食べますか?」
「そうだな。...屋上に行ってみるか」
そんな会話をしながら私と洋二さんは屋上にやって来る。
それから屋上のドアを開けてから外に出た。
青空が広がっている。
私は洋二さんを見てみる。
「結構晴れてますね」
「そうだな。...さんさんだな。なんせ...今日は存分に晴れるって言ってたしな」
「そうなんですね」
「ああ。祝福してくれているみたいだな」
「あら洋二さん。そんな事を言うんですね」
「おかしいか?」
私はそんな言葉に洋二さんに首を振る。
それからベンチを見つけて駆け出す。
そして振り返ってから洋二さんを見る。
洋二さんは子供を見守る親の様な目線で私に向いていた。
「...でもそんなに嬉しいものなのか。俺とのご飯が」
「それはそうでしょう。だって洋二さんの事が好きですもん。大好きな人と一緒に居られるだけで幸せです」
「さ、さいですか」
「私は洋二さんが好きです。...だから今の自分が居ますしね」
「...」
悩む感じの洋二さん。
私はその洋二さんに柔和な顔で接する。
洋二さんは「双海のお陰で何だか自信が持てているよ」と笑みを浮かべる。
そんな言葉に私は洋二さんの手を握った。
「...お、おい」
「私は決して諦めません。洋二さんが私に振り向くまで決して。...その決意がまた新たになった気がします」
「双海...」
「...お姉ちゃん以上に幸せにしますよ。きっと」
「...すまないな。...俺...」
「今は洋二さんは前だけ見たら良いと思います。...でも頭の片隅に私という人が居るという事を覚えてくれていたら嬉しいです」
そして私は洋二さんと一緒にベンチに腰掛けた。
それからお弁当を食べ始める。
中身はタコさんウインナーとか作ってみた。
そういうのが入っているお弁当だ。
とても美味しかった。
☆
私は放課後になって洋二の教室に向かう。
それから教室のドアを開けてから中を覗いた。
そこに洋二が居た。
私は声を掛ける。
「洋二」
「...ああ。お前か」
「うん。今日はゴメンね。ご飯作れなかった」
「あ...いや。大丈夫だ」
洋二は複雑な顔をしながらそのまま私に向いてくる。
「帰るのか」と聞いてきた。
私は「うん。今日は直ぐ帰れるよ。洋二はどうするの?」と聞いてみる。
すると少しだけ黙った洋二。
それから「...じゃあ帰ろうか」と言ってくる。
教室に居る夜見山くんを見ながらだ。
私は「?」を浮かべながら夜見山くんを見る。
夜見山くんは目を逸らした。
私はそれを見てから洋二に目を向ける。
「その前に話が有る」
「...うん。話?何の?」
「...俺達の婚約の話だが。...婚約破棄したい」
「...は?」
私は言葉に凍り付いた。
それから「待って。それ別の所で聞かせて」と直ぐに屋上に向かう。
ドアに鍵を掛けた。
そして洋二を青ざめながら見る。
「それはどうして」
「...何が目的か知らないがお前は浮気しているな?」
「...何でそれが...」
「お前...双海達が腕を組んでしかも胸を押し当て。キスまでした浮気現場を撮影していたの知らないのか」
「...何で...」
「証拠は全て揃った。だから婚約破棄したい」
洋二からそう言われた。
更に「お前には付き合えない。幾つも裏切りを重ねてきっとお前は股も広げたんだろ?ならお前の様な奴は蔑視する事に値する」と言われた。
私は青ざめまくる。
それから「待って。洋二。そこまでしたけど私は決してセックスとかしてない」と否定する。
だが洋二は怒っていた。
「...お前と婚約破棄するのが今しなければならない事だ。...浮気を止めても俺は許さない」
「...待って。洋二。私は...悪かった。わ、別れるから」
「アホかお前は。全てが手遅れだ。お前がやった悪行の現実がこれだぞ」
「洋二!お願い!私は洋二が居ないとい、生きていけない...」
「陰ながら殺人鬼の息子だって思っていたんだろ?」
「思って無い。そんな馬鹿な事。私は...」
「私は」と言い淀む。
すると洋二は「後は浮気相手と仲良くしたらどうだ。俺は絶対にお前を許さないから」と吐き捨てられる。
「じゃ、じゃあこの関係は」と言うが。
洋二は「終わりだな」と言う。
「...何で浮気したんだ」
「お、お義母さんとお父さんに洋二との関係を断たれる可能性があった。殺人を犯した父親の息子だからって。だ、だからせざるを得なかった。浮気を」
「それは...言い訳じゃ無いか?まあ何方にせよお前は見誤ったな。全ての判断を」
「...それで夜見山くんと相談したの」
「それどころか他の奴らにも相談した。例えば湊とかな。ショックを受けていたぞ」
「...わ、私が死んじゃうよ。社会的に。それに私は...!!!!!」
「抹殺されるのも一つの手じゃないか?じゃあな」
そして洋二は去って行く。
その姿に号泣してから「洋二。お願い待って」と言うが。
声は届かない。
そんなつもりじゃなかった。
あくまで周りの為だったのに。
こんな形で失うなんて...。
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