第4話 蝦夷共和国樹立・入札
「皆さん、皆さんのお陰で蝦夷地を平定することが出来ました。本当にありがとうございます。本日は入札を行います。皆さんに白紙の紙をお渡ししますのでそこに総裁にふさわしいと思われる人の名前を書いてこの箱に入れて下さい。それだけです。では始めて下さい。」
「ここからは大鳥圭介が進行いたします。集計が終わりましたのでこれから発表していきます。」
榎本武揚君 百五十六点
松平太郎君 百二十点
永井玄葉君 百十六点
大鳥圭介君 八十六点
松岡四郎次郎君 八十二点
土方歳三君 七十三点
(以下省略)
役職等に関しましては三時間後に発表致します。土方君以上の方六名は別室に来て頂きます。」
榎本・松平・永井・大鳥・松岡・土方は別室に移った。
「私、榎本が議長をさせて頂きます。よろしいでしょうか。」
「榎本、どうせこの入札は出来レースなんだろう。そしてお前が総裁になりたいんだろうよ。俺が決めてやるから大鳥書いて行け。」
「なんで私が書記役をしなきゃならんのだっ。」
「いいから、書けよっ、うるせぇな。」
総裁 榎本武揚
副総裁 松平太郎
箱館奉行 永井玄葉
陸軍奉行 土方歳
「土方君、ちょっと、ちょっと。」
「大鳥っ、うるせぇぞっ、黙って書いてりゃいいんだよっ。」
海軍奉行 甲賀源吾
後は榎本決めろよ。以上終わり。
「異議ありっ、何で甲賀君が海軍奉行なんですか。」
「そうだよっ、荒井は仕方ないとしてもなんで土方君が陸軍奉行なのさっ。陸軍奉行は大鳥でしょうが、まいっちゃうなー。」
「大鳥・荒井、お前ら糞かっ、常負将軍て陰口叩かれているお前が奉行になったら勝てる戦もボロ負けなんだよっ、荒井っお前ここに座って何してんだよ。本当だったら切腹なんだよっ。分かってんの。おい榎本、俺の言ってる事おかしいかい。」
「土方さん、大大賛成ですよ、大鳥君にしても荒井君にしても良くもイケシャアシャアと言えますね。呆れてものも言えませんよ。」
「松岡、こいつら絶対なんかたくらんでいやがる。俺には分かるんだ。榎本、これでいいだろうなっ。」
「土方さんの言われることは至極当然、もっともです。だけどねぇ、土方さん、陸軍のことに関しては全て土方さんにお任せします。私も大鳥君も一切口を出しません。大鳥君はお飾りの様な物と理解してもらえればいいんだけどなぁ。確かに開陽沈没は荒井君の落ち度です。切腹して当然なんですが、いま一度チャンスをやりたいんですよねー。総裁として心の広いところをみんなに見せてやりたいじゃないですか。大鳥君、荒井君、土方産に頭を下げてお願いしたらどうなのさー。」
「榎本、分かった、分かった、お前が言った一切口は出さねぇと言う奴、忘れるなよ。大鳥、お前はお飾り様だとよっ。荒井今度へまやったら俺が介錯してやるよ。松岡君、あんた証人になってくれ。」
「了解しましたー、だけど大鳥さんが陸軍奉行になったらハチの巣つついたようなものになっちゃいますよ。皆黙ってないんじゃないかなー。」
「松岡君、かなり失礼ですよねー。館城堕としたからって言いすぎなんじゃないの。」
「土方さんが言っているようにあんたは常負将軍様なんだけど本気で奉行になろうと考えてたとしたらふざけすぎているんじゃないの。」
「松岡君、そのくらいにしてやんなさいよ。大鳥君は常負将軍ではありませんよ、橙将軍(お飾り将軍)さまです。」
「だれが何を言っても陸軍奉行になるんですっ。」
「馬鹿馬鹿しい、榎本、後は適当にやってくれ、飯食ってくるわ。」
役職が決まったので全員集合した。
「私、大鳥が役職を発表いたします。
総裁 榎本武揚
副総裁 松平太郎
陸軍奉行 大鳥圭介
「チョット、何で土方さんじゃねぇのさ、大鳥では勝てる戦も負けてしまうじゃないの。」
「そうだ、そうだ、絶対反対っ、俺はまだ死にたかぁねぇよ。大鳥は兵隊殺しの名人なんだぞっ。」
「皆さん、静粛に、静粛にして下さい。」
「馬鹿野郎、っ‼お前が悪いんだろうがっ!」
「皆、静かにしてくれっ、陸軍のことに関しちゃ榎本も大鳥も一切口出しはしねぇと約束した。大鳥はお飾りさんみてぃなもんだっ。安心しろっ。」
「土方さんがやってくれるならおれは死んでもいいや。あーっ、安心した。おい、大鳥さっさと進めろよっ」
大鳥は完璧に打ちのめされた。やっとの思いで席に戻ったと同時にゲロしてしまった。家来に肩を抱かれて自室に下がった。代わりに松平太郎が議事進行を始めた。
「海軍奉行、荒井郁之助君」
「やいっ!榎本、開陽を沈没させた奴が海軍奉行になれるのかっ、こらっふざけんなよっ。お前も沈没させた一人だったっけ、同じ穴のムジナってやつだ。だめだこりゃぁ。」
「静かにしなさいっ。」
陸軍奉行並 土方歳三
箱田奉行並 中島三郎助
(以下省略)
「大鳥君ってそんなに戦下手なの?」
「永井さん、本人は一生懸命やっているんでしょうけど、大鳥君は頭の中で戦してるんですって。脳みその容量があまり大きくないのです、すぐパニくってしまうらしいですよ。」
「三十回戦して勝てたのは数度、これも伝習士官隊隊長の滝川君のお陰ってもっぱらの噂ですよ、知らんけど。」
「大鳥君は結構ビックマウスだからよけい嫌われんだろうな。」
「松平君、話は変わるけど榎本計画どう思う。私は多少罪悪感を感じているんだよ。」
「永井さん、あまり深く考えない方がいんじゃないですか。榎本さんも異常なくらい自信家ですがかなりおっちょこちょいなところもありますからね。ちょっと厠に行ってきます。」
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