第3話 姉さんが逝った日

『黒猫姉さん』は車に跳ねられたらしく妹が拾ってきた猫、そのまま家に居ついてしまった。

きっと飼い猫だったのだとだろうと思うのだが、やたらと人に慣れていた。


静かで小柄な猫。


風呂場が好きで、僕が風呂に入ると付いてきて浴槽の淵で座っていた。

シャワーのお湯を舐めるのも好きだった。


そんな『黒猫姉さん』が逝った。


家の裏にある桜の木の根元に埋めた。


それから『クロさん』は、たまに桜の木の下で昼寝していた。

死んだ夜は『クロさん』も家中をウロウロと探す様に落ち着きなく歩き回っていた。

そんなに仲がいいようにも見えなかったが、姿が見えないと不安だったのかもしれない。

それからだろうか、『チョビさん』が僕の部屋で寝るようになったのは。

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