第47話  魔族がいた~~!!

 竜が魔族に味方をしていたというのは、アシュレイにはショックなことだったが、ニックに促されて任務の続きに戻った。


 大きな建物が三つ、高い塔が一つあった。


「一日で、全部見るのは無理だな」


「うん、オレもそう思うよ」


 しかし、ここまで登って来るだけで、体力を使い切ったアシュレイは直ぐに寝息を立てていた。


「お、おい!?」


 ニックは呆れ顔でアシュレイを見たが、その時にとんでもないものを見てしまった。

 アシュレイのお尻から、尻尾のようなものが出ていたのだ。髪と同じのキジトラ色の……?


(え……?)


 ニックは、アシュレイに近付いて良く見ようとして、首のあたりに強い衝撃を受けた。


「しまった! 油断したか……」


 薄れゆく意識の中で、彼は二人の人影を見た気がした。

 そして、そのまま気絶した。


 ニックは、年は若いが冒険者のAランクである。

 当然、魔族とも戦ったことがある。目の前で、仲間の冒険者が、精気を抜き取られて年寄りになっていくのを何人も見てきた。


(二人分の食事ならば、俺の寿命は残るのだろうか……?)


 ニックは、嫌な夢を見ていて、アシュレイに揺り起こされた。


「大丈夫? ニックさん。すごくうなされてたよ?」


「ああ……大丈夫だ。アシュレイ……俺はどれくらい老けた?見るからにじいさんか?」


「??」


 首を傾げるアシュレイである。


「いつものニックさんだよ? どうしたの?」


「それより、おまえ!!尻尾が!!」


 アシュレイは「ドキリ!!」


「何のこと?尻尾なんて出てないけど?」


 アシュレイは、一瞬ドキリとしたが、手で触った感じで尻尾の感触はなかったので安心した。


(昨日、疲れたから、エリサさんの魔法が解けかけたのかな?)


 ニックは、起き上がって自分の手足にシワが無いか確かめて、身体能力が落ちてない事も確認していた。


「アシュレイ、落ち着いて聞くんだ」


「何?」


「もしかしたら、ディン族が二匹ここに潜んでいるかもしれない」


「ええーー!!」


「静かにしろ。人間に擬態している魔族だからな、昨日は、現れただけで精気を抜かれてないようだ……様子を見てるんだろうか……こちらも気を付けるんだ」


「う、うん」


 アシュレイは、魔族と聞いてまたチビってしまった。

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