第28話 風竜の巣へGO!
翠とトラ、もとい、アシュレイ(「トラ」と呼ぶと、どうしても猫の気分になってしまうので、「アシュレイ」と呼んだ方がトラの為)とエリサルデに釘を刺されていたので、翠は、トラのことをアシュレイと呼ぶことにした。
でもこの世界に来てから、酷い目にも合っているが、良い人や良い精霊にも出会っている。
味方をしてくれる訳では無いけど、手助けをしてくれたり、アドバイスをしてくれたり……。
翠は、改めて嬉しく思った。
キジトラのトラと異世界で、思わず旅が出来る事になったことに……
「ねえ、翠君。笑ってる?」
アシュレイが急に小声で、話しかけてきた。
飛んでる間に、アシュレイの方から、声をかけて来るのは稀である。
猫なのに、高いところが苦手なアシュレイは、翠の背中にぴったりと張り付いて動かないこと方が多かった。
翠は、竜なのでアシュレイの小声も聞き取れた。
「アシュレイ?どうしたんだい」
「うん……お前、今気分が良いのかなって思った」
「ああ、良いよ。異世界を猫のアシュレイと旅が出来てるんだぜ」
「そんなに嬉しいの?」
「嬉しいよ」
翠は、弾んだ声でアシュレイに言った。
山間を北に抜けると、狭い山岳地帯に入った。
これは、翠が普通に飛んでも行けないところだった。
身体を縦にして飛ばなければいけない。
背中のアシュレイは、当然転がって落ちてしまう……。
だから、翠は風竜の力で網を作って、縦飛行になる直前にアシュレイをその中に回収した。
一瞬、放り出されるかと思ったアシュレイは、またチビってしまった。
「翠く~~ん!!」
「御免、御免。急に狭くなったからさ」
かなり長い間、狭い場所を飛んできて、やっと広い場所に出た。
思っていたよりも奥地だったのだ。
翠の前に、風竜たちが飛行していたのが見えた。
「アシュレイ!! とうとう着いたみたいだよ」
「わぁ~~ 風竜がたくさんいるね? 翠君の仲間だ」
「えっと、どうすれば良いのかな?」
翠が戸惑っていたら、若い白金の鱗を持つ風竜が翠の前にやって来た。
『お前は、何処の生まれのものだ。人間なんて連れて来て、どういうつもりだ!?』
またレトア語である。頭の中で脳内変換してくれるので助かるが、翠は日本語で喋ってるつもりだったが、ここでは共通語と言われる。
どちらにしても翠には、日本語しか話せないので、普通に話すことにした。
「どーもぉ、異世界からの転生者の
翠の周りに数匹の竜が集まってきた。
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