第24話 エリサルデ・フレイドル
「……な、……」
「間違ってないわよね~? 私の精霊たちが、そうだ、そうだと肯定してるわ」
この谷では、当たり前のように精霊が動いていたので、翠は気にならなかったが、少女の頭上や右肩、左肩の上にも精霊がいた。
翠は、諦めて自己紹介することにした。
「ボクは、
少女は、大きな目をさらに大きくして、呆気にとられていた。
「異世界の転生者なんて、初めて会ったわ。本当にいるのね」
「嘘じゃないよ。ボクの格好とか、竜なのにこの外見とか」
「私は、エリサルデ・フレイドルよ。エリサと呼んで。外見がおかしいと言われても、『珍しい格好をしてるわね』と言うだけよ。空を飛んでたから風竜ね? 猫ちゃんは、魔法使いの手で人型になってるけど、その魔法使いのそばを離れたら、長くは、その姿を保っていられないわよ? 分かってるの?」
「ええ~~」
トラが、ビックリして素っ頓狂な声を上げた。
翠には、「にゃーー!!」という叫びにしか聞こえなかった。
「君は、魔法使いかい?銀色の一族なの?」
翠は、シクシク泣きだしたトラの代わりに、エリサルデから情報を聞くことにした。翠のことを風竜と見抜き、トラのことも魔法使いの手を離れたら、人間の姿を長く保っていられないと言う……。
「神の一族とは関係はないわ。……でもここは、精霊がたくさん生まれる場所よ」
それを聞いた翠は、精霊が多く生まれるならば、魔族も多く生まれるところではないかと思った。
「ねぇ、ここには魔族はいないの?精霊がたくさん生まれるなら、魔族もその分増えてるんだよね?」
「魔族? 何それ?
この世界に来て、いきなり魔族との戦いに巻き込まれた翠は、こんな女の子もいるのだと驚いた。
「ねえ、エリサ、トラの魔法が解けない方法が分かる?」
翠は、高位の精霊を三匹も連れたエリサルデに助けを求めてみた。
トラは、アシュレイ・ロットだった時の身長よりも小さくなっていた。
翠が赤ちゃん扱いしたせいか、勇者として振舞ってることで、その身体を保っていられたのだということが良く分かる状態だ。
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