第12話  魔族との戦い(1)

 増えすぎた魔族を討伐する今回の作戦は、この世界の中枢である光の神殿と冒険者ギルドが共同で戦線をしくことになった。


 人間側の大将には、不死身の勇者召喚したアシュレイにする予定で、冒険者ギルドのSSSランクの勇者クラスの冒険者三名を大将として、魔法使いの野営地に招いていた。

 魔法使いの総大将は、ロイルの長が自らかって出ていた。

 おさ自らの出陣に、かつて無いほどの銀髪集団の野営地やってきて、ここは陣地になったのだ。


 長い歴史上、こんなことは、これが最初で最後である。



 ▲▽▲



「我らには、風竜の若君の加護がある。恐れずに戦うが良い」


 エリシスは、翠に冒険者を紹介した。


 冒険者たちは竜を見るのが初めてというよりも、翠の外見を見て、本当に風竜なのかと疑っていた。


「地竜の間違えではないのかね?」


「ボクは、風竜ですよ。地竜ってことは、土の中で暮らしてるんですか?」


 冒険者の一人、ニック・カールトンが翠の外見に言及して来たので、翠も聞き返した。


「そうさな、火竜は火を吐くし、水竜は水の中にいる。地竜は、見た者がいないと言われているほど稀な存在だ。風竜ならば、この陣地を吹き飛ばせて逃げることも出来たのに……やられたか」


 ニールは、少し翠に同情してくれた。

 それは翠も嬉しかった。この世界に来て、本気で同情されたのは、初めてだったから。


 鍛え上げた、逞しい腕っぷしを持つニールを翠は、助けてあげたいと思った。


「ボク、魔法使いじゃなくて、お兄さんなら助けるよ」


「嬉しいことを言ってくれるが、お前さんは、魔法使いたちの持ち物だ。

 術をかけられて、命令されるのがオチだろう」


(ゲゲゲゲ……嫌だな~~……)


「凄い顔だな。そんなに嫌なら、早く心臓を取り戻して自由になることだ」


 ニールは大笑いをした。よほど顔に出ていたらしい。


 程なく翠は、竜身になることを求められ、ちょうど、怒りが湧いていたので、難なく竜の身体になることが出来た。


 そうして、初老の魔法使いが、翠の目のあたりにヒョイと乗ってきた。


「何すんだよ!!」


「お前は、反抗的だから術をかけておく。これから魔族攻撃に行くが、一人でも犠牲が出たら、お前のせいだ。肝に銘じよ!おまえのせいだ!」


 それだけ言うと、老人は身軽く地上へと降りて行った。


 翠は、じいさんの声が頭で木霊していた。

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