第4話  三人で旅

(羽を引っ込める?)と言われてそうですかと出来るものではない。

 無意識に出てきたモノだ。


「まったくの人型ひとがたを意識すればどうですか?」


 エリシスは、翠に言った。

 翠は、まだ自分が人間であると言う自覚が強いのだ。


(こんな転生ボーナスはいらないぞ!!)


 翠は、いじけてエリシスの言われた通りに人間の姿を意識した。

 すると、翠の身体は銀色に光り、人型になることが出来た。


 それを見ていた勇者のアシュレイ・ロットはチビっていた。


「わわわわわ~!!」


「勇者様、大丈夫ですよ。この世界の竜は、普段は人間には接触してきません。

 卵を盗られたり、心臓を取られたりして自由を失いますからね」


 その言葉を聞いて翠は慌てた。


「卵が盗られる? 心臓を取られる? どう言うこと!? この世界の竜は、悪い竜なの?」


 エリシスは、翠の慌てぶりに笑って答えた。


「竜は、光の眷族だから、我々と同じ光の一族と同じです。また竜の中でも、風竜は、人間と友好関係にありますが、でも、竜の卵……特に風竜の卵は万病の薬として高値で取り引されます。また、竜は、心臓を取られても生きていける種族なのです。心臓を取られた者に支配されますが」


 翠は、がっくりと膝を落とした。


「ちっとも、頑丈じゃないじゃないか」


「でも、寿命は、千二百年ありますよ」


「千二百~~!!」

 

あまりのも長い寿命に、翠は気が遠くなった。


エリシスは、翠を土産に仲間のところに帰ることを考えていた。


「翠殿、ぜひワタシの仲間のところまでいっしょに来てください」


 エリシスの口は、笑っていたが目は笑っていなかった。

 人の良い翠には、エリシスの本心が見抜けなかった。


「分かった。ついてくよ」


翠は、エリシスと、勇者の後をトボトボと歩いて行った。


やがて、大きな野営地が見えてきた。

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