第四四翔
「「「なっ……なっ……なななっ! なんじゃとぉぉぉぉぉっ!」」」
スクリーンに映し出された光景に、聖戦の英雄三人が絶叫の大合唱である。
ランスの無茶にもいい加減慣れ、大概の事には驚かない人生経験も積み上げてきた彼らでさえ、コレには目を皿のように大きく見開き関節が外れんばかりに顎を落としていた。
グィネヴィアに至ってはすでに立っていられないようでソファーにもたれかかり、ガタガタと身体を震わせている。
リュネットは腰を抜かし、その場にへなへなと座り込んでいた。
有り得ない光景だった。
なんなのだ、アレは。
スクリーン越しですら、ソレは蛇に睨まれた蛙のごとく、見る者の心と体に圧倒的な恐怖を刻み込む。
「くっくくく」
さすがに英雄王だけあって、アーサーだけは動転から一瞬にして立ち直り、ついで感慨深げに首を左右に振って自嘲気味な笑みを零す。
「さすがだ、ランスロット。もう驚かされてたまるか、と心の構えをしていたと言うのに、いつもおまえは、その上を軽々と飛んでいく……っ!」
周囲の反応に、シャーロットも奇跡が起きたことを悟ったようだった。
目蓋を開けスクリーンを見やり、満足げに微笑する。
驚いていないわけではない。
怖くないわけでもない。
だが、彼女は信じていた。
ランスが奇跡を起こす事を。
何が起きるのかは分からなくとも、何かが起きる事は確信していた。
彼女にしてみれば、単に起きるべくして、何かが起きただけだ。
だから、今、彼女がする事はただ一つ。
グッと固く拳を握り締め、勢いよく前へと突き出す。
「いいいいいいいいっけええええええええ!」
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