第2夜 黒い液体

 いったいその試験管の中身が何であるかわからないまま、母にいわれて私はそれを持って歩いていた。真っ黒な液体で、底の方でぐつぐつ沸騰している。これはひょっとしたら一気に噴き上がるのではないかと思っていると、案の定、試験管の口まで急激に上ってきたから、私はあわてて手を離した。


 試験管は割れなかったが中身が絨毯にこぼれ、どす黒い染みを作っていた。すぐそばにニンテンドー3DS(メタリックレッド)があって、私は急いで避難させていた。なぜか、自分が持っていないニンテンドー3DSや、ニンテンドー3DSLLも、染みを囲む形で置いてあった。母が雑巾か何かで丁寧に絨毯を拭いていた。


 試験管の代わりにビニル袋の中に液体を入れていたのだが、カーテンの後ろに隠していたそれが赤の他人に見つかってしまい、しかも彼はその上に座っていたものだから、尻を火傷して難儀そうにしていた。


 黒い液体を入れたビニル袋は、カーテンの後ろにまだいくつか残っていて、これからまだ増えていくような、そんな気がしていた。

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