第11話 クレイジーギアというギルド

 



 先ほどまでの戦闘の激しさが嘘のようにドラ9Fは穏やかな雰囲気に包まれていた。皆が協力して強敵を倒したことを称え合う。


そしてワールドアナウンスが流れる・・・


ーきんぐさんのレイドPTにより「彷徨うフランキー」が討伐されました。ー


次に固唾をのみ皆が待つのは・・・


ー「彷徨うフランキー」の討伐MVPは「ロックス」さんです。おめでとうございます。ー


「ロックスさんおめでとうございます!」

「ロックさんおめー」

「おめでとう!」

「おめー」


そうこのゲームではボスを倒した際にアナウンスが流れる。

そして与ダメージや、被ダメージなど、トータル的に判断されてその時のMVP褒章が行われ、MVPを獲得したプレイヤーには、追加報酬が贈られる。


 そうこれもMMORPGの醍醐味の一つだ。


彩名のインターフェイスに、「MVP報酬が届きました」のアイコンが

出たのでクリックすると「フランキーの首輪(スロット1)」がイベントリに入ってきた。


「MVP報酬なんでした?」

「えっと「フランキーの首輪」ってのが来ました。」

「おぉ、超当たりじゃないですか!おめでとうございます。」

「おめでとう」

「えっと・・これどうしたらいいんですか?」

「今回はロックスさんが、受け取ってください」

「いいんですか・・・?」

「今回はロックスさんいなかったら恐らく決壊してましたから。」


きんぐさんが皆に確認するも、だれからも反論は出ることは無く、有難く頂くことになった。

「ありがとうございます!」

「いやーすごかったねロックス(彩音)おめでとう。」

「ありがとうLuLu」

「それにクレイジーギアの皆さんも、ありがとうございました。」

「おつかれさまでしたー」

「おつかれさまー」

「おちゅかれんこんー」

「お疲れです」


彩音は初めてのPTでのボス討伐という、大イベントに参加できてまだ興奮が冷めあがらなかった。

(すごかったねーロッくん感動しちゃったよ!)

〔大袈裟だなーどうという事は無い。〕

(後でじっくり話聞かせてね。)

〔ハイハイ〕


そうこうしてたら、やんやんさんから声をかけられた。


「クレイジーギアのマスターをやらせて貰っております、やんやんと申します、ロックスさんに来ませんか?」


(ど、どどうしたらいいのロッくん!?)

〔それは彩音が決めることだ。〕

(あたしが聞いてるのはロッくんがどうしたいかって事。)

〔まぁ、あいつらとならボスとかやってもいいかもな〕

(わかった!)


「あのぅ、未熟者ですがよろしくお願いします!」


「決まりですね!」

「あちしが、魔法少女のあっちゃんだよぉ、よろしくね!」

「よろしくお願いしますね。」

「ようこそクレイジーギアへ」


ーギルド名「クレイジーギア」より招待が来ましたー

(ロッくんいいんだよね?)

〔あぁ。〕

そして彩音は決心してそのボタンを押した。


ーギルド名「クレイジーギア」に加入しました。ー


 ここからまた彩音とロックスの新たな冒険が始まる・・・


ギルドチャットに歓迎のメッセージが飛び交う


これもまたMMOの醍醐味である。

新たな仲間たちと一緒にこの世界を探索する。

仲間がいるからこそ、強くなろうとよりがんばれる。

ひとりではくじけそうなときも仲間がいるから立ち上がれる。

そんなよき仲間たちと巡り合う事こそ宝なのではないだろうか。


「よかったねロックス(彩音)。」

「LuLuも入れてもらう?」

「私はもうはいってるし、それにちょっと次元が・・・」

「そっかぁ・・・」

「でもロックス(彩音)はそこのギルドがいいと思う。」

「また狩にいこうね!LuLu」

「もちろん」


 そして間もなくその場はお開きとなり、皆町へ帰還した。

そしてさっそく「フランキーの首輪」をロックスに装備した。


フランキーの首輪:効果 打撃スキル50%ダメージアップ


(おぉ、またまた強くなっちゃったねロッくん)

〔いいのか売らなくて、売ればおそらく1億はするぞ〕

(いいのいいのロッくんが強くなってくれれば。)

〔そうか・・・〕


そして彩音は町を出てフィールドにロックスを移動させた。

〔どこ行くんだ?〕

(いいからいいから・・・)

〔・・・〕

MMORPGの醍醐味の一つに雄大な景色を楽しむというものがある。

このディスティニーフェアリーも背景には凝っていた。

そこで彩音の好きな場所にやってきた。


涼しげな風が吹いてるような一本桜の咲く丘の上だだった。


〔彩音ここ好きだよな・・・〕

(ここってさぁやっぱ風吹いてるの?)

〔あぁ、とても気持ちのいい風が吹いてる、俺もこの場所は好きだ。〕

(そっかぁ・・・)


〔受け入れてくれてありがとう〕

(え、な、なにが?)

〔普通こんな風にキャラがしゃべりかけてきたら怖いだろう。〕

(怖くはなかったよ、びっくりはしたけど。)


それからロックスは今までの経緯を話してくれた。

最初からずっと自我があった事。

ディスプレイのカメラとマイクを通じてこちらが見えてて声も聞こえる事。

はやく教えてくれればいいのに・・・

怖がると思ってずっと普通のキャラを演じてた事。

他のキャラクターもそうなのかって聞いたら、まだ同じ存在にはあった事ないがいないとは言い切れないかもとの事だった。


(これって夢じゃないよね?)

〔夢?ゲーム自体が夢のようなものだろう?〕

(違うの、今ロッくんと喋ってるのは本当に起こってるんだよね?)

〔あぁ、そうだな。〕

(あたし、小さいころからの夢だったの、自分のキャラとおしゃべりするのが・・・)

〔そうか、それは良かった。〕



 そう、ロッくんはとても特別で夢のようなアサシンだった・・・





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