第10話 激闘の行方
~~彩音視点~~~
周りから希望の声が聞こえ始めた。
(ロッくんならきっとやってくれるよね、今まで負けたことないから!)
それから少し落ち着きを取りもどした彩音は周りのハンターたちに目を向けた。
今まではフランキーの圧倒的存在とロックスの行動に目を取られて、周りの戦ってる人たちまで見る余裕はなかった。
そしてここで今彩音はドキリとした。
(わわわ、残ってるのって、「クレイジーギア」の人達じゃない!)
よく見ると先頭で盾を構えているのはきんぐさんだった。
他にも、やんやんさんや、蒼月さんといった超有名人揃いだった。
後すこしほかのギルドの人もいるようだが、ほとんど天に召されて町の復活地点に戻されたようだった。
ゴリゴリとフランキーのHPが削れて行き、フランキーから悲痛な咆哮があがる。
のこり50%の手前で、ロックスから指示が来た。
「あのすみません、きんぐさん一旦下がって取り巻き召喚に備えてもらえますか?」
「あーロックスさんですね!了解です。」
そしてきんぐさんは一旦下がって、体力を回復させることに努めた。
「取り巻きがいっぱい来るのできんぐさん、でぃへんすふぃーるど?は温存して耐えれます?」
「了解、やってみます!やんやんさん回復たのみましたよ!」
「まっかせなさーい」
程なくしてフランキーから強大な咆哮が上がる。
距離を取ってたおかげでほかのハンターも恐怖効果は凌げたようだった。
そしてドドドドドドドドっとどこからともなくモンスターの群れが集まってきた。
「皆さん寄ってください、タゲは私が引き受けます。さぁこいグランドヘイト!」
「回復はまっかせなさーい。みんな踏ん張るよぉ!」
「ふふふ真打登場ね、獄炎の魔法少女あっちゃんよ!」
そして並みのハンターなら戦慄するほどの数のモンスターが一気にきんぐさんへと向かって行く。
「ここが正念場ですね、ホーリーアーマー!殲滅たのみます!」
「きんちゃん任せて、あちしの出番ね、食らえ地獄の業火バーニングヘル!」
「殲滅理解した・・・千矢百夜!」
わらわらと集まってくる無数のモブが一瞬にして業火に包まれる。
そこにとどめとばかりに蒼月の放った無数の矢の雨が襲い掛かる。
その矢はすべての敵を倒すまで降り注ぐ・・・
「きゃはは、みろモブがごみのようだ!」
魔法少女あっちゃんが、狂気じみた笑い声をあげていた。
「みんな良くやったわー回復いくよー ヒールレイン!」
やんやんさんの高レベルヒーラーによる範囲回復で皆を癒す。
(すごい、すごい!さすがは「クレイジーギア」だ!)
彩音はモニター越しに見るクレイジーギアの連携の高さとその強さに惹かれて行った。そして取り巻きの処理を終えたクレイジーギアのメンツは目標をフランキーに切り替える。
「すみません、ロックスさん助かりました!」
取り巻きを処理する間も黙々と作業をこなすようにフランキーを削っていて残り30%まで来ていた。
(わわわ、お礼なんて・・・)
「どどど、どうしまして。」
モニター越しに顔を赤らめて照れていた彩音に、すぐにロックスから次の指示が来た。
〔残り10%で特大威力の広範囲スキルが来るから盾に皆を頼むと!〕
(わかった!言ってみる!)
「あの皆さん・・残り10%で特大範囲の攻撃が来るのできんぐセブンさんに皆を守ってもらえますか?」
「了解、そこでディフェンスフィールドですね、やんやんさんフォロー頼みます。」
「りょうか~い」
ロックスの超火力とクレイジーギアの火力担当とで一気にフランキーのHPが削れて行く。残り12%といったところか。
「皆さん一旦下がって範囲に備えます、寄ってください。」
「ロックスさんは大丈夫なの??」
(わわあ、どうなのロッくん)
〔俺なら大丈夫心配するな俺を誰だと思っている!〕
「大丈夫だと思います・・・」
程なくしてフランキーの体が一回り大きくなり紅潮し始めた。
「範囲が来ます!ディフェンスフィールド!」
「防御力アップしまーすプロテクトオーラ!」
高レベル盾のスキルによる範囲ダメージ低減フィールドを作り出す、この中ではダメージ80%低減になる、そこに高レベルヒーラーによるダメージ低減を重ねる。
すべてはフランキーの広範囲特大威力のスキルに備えて・・・
しかし・・・一人だけ少しも臆することなくフランキーの前に立つ者がいた。
皆の視線はその男に自然に集まる。
その立ち姿は、勇ましく涼しげな雰囲気さえ匂わせるような落ち着いた様子だった
そうロックスにはこの時のためにレベルアップを急ぐ必要があった。
50レベルで取得できるその技の為に・・・
・・・その名は「明鏡止水」・・・
攻撃受付有効時間はわずか5フレーム(約0.2秒)
その構えの有効時間内に受けたすべてのダメージを無効にしてカウンターを取る!
その有効時間の短さ故に使える者がすくなく死にスキルとなっていたがロックスにかかればそのタイミングを計ることなど朝飯前だ。
食らえば間違いなく死しかないフランキーの特大スキルにこれを使うほど肝の据わったプレイヤーはまだ知らない。スキルのタイミングを少しでもミスれば死だ・・・
「範囲来ます、皆さん踏ん張って!」
フランキーが吠える!そして絶望ともいえる高威力の波動が来る!
そして・・・・
ーー明鏡止水ーー
ドーーーーーーーン
全てを無に帰さんとするような、力の爆発を前に、全く怯む様子もなくその眼光は鋭い光を放ち、鮮やかにその技を決めるそのアサシンの姿にすべてのハンターが注目した。
「まじか・・・」
「すげー・・・」
「あのスキル決めるの初めて見たんだけど!」
「かっけー!」
そしてフランキーが断末魔を上げて倒れた。
そう明鏡止水は受けるであろうダメージをそのまま相手に返す、相手の攻撃が強ければ強いほど有効なとんでも技でもある。故にその難易度は超が3個ほどつくくらい難しい。
しばしの静観の後に、どこからともなく勝利の勝鬨が上がった。
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