第8話 魔王様検定
『お住まいの閑散日対策委員会』の参加者は以下のとおり……だ。
ソーウ・ムウー総務大臣
魔王様が超大好きな羊角のある魔族。ザイ・ムウー財務大臣の兄。
コウウッ・ローセイ厚生労働大臣
魔王様のためならなんでもやってみせる鬼牛魔族。見た目に反して意外と臆病。
ザイ・ムウー財務大臣
魔王様がめっちゃ大好きな羊角のある魔族。ソウショク
サン・ギョーウ産業大臣
魔王様が好きすぎる狼耳の魔族。ウルフ・アイを魔王様に褒めてもらった。ザイ・ムウー財務大臣とは仲良し。
コウ・ホウー広報大臣
魔王様を敬愛してやまない三つ目の女魔族。ぷるるんと揺れる豊満な胸がチャームポイント。
カン・コーウー観光大臣
魔王様を慕っている猫しっぽの魔族。冷静沈着。
その他にも、キョウ・イイック教育大臣、ボウ・エイッツ防衛大臣、カンサアー・ツーウー監査庁長官などが参加している。
「残念ながら、激務の連続で体調を崩して欠席している各大臣には委任状を提出していただいております!」
「おおおおお――っっ!」
パチパチパチパチパチパチ!
パチパチパチパチパチパチ!
パチパチパチパチパチパチ!
「で、コイツは誰なのよ?」
拍手が鳴りやむのを待ってから、三つ目の女魔族コウ・ホウー広報大臣が、自分の隣に座っているウサミミ魔族の若者を指差す。
「ああ。彼は研修生のシン・ザンシャです。今年度の採用試験で最も優秀な成績を収め、魔王様検定では1級を取得している実力者です。魔王様の『煮詰まったときは、若手の意見を取り入れる』……というお言葉を実行しました!」
ソーウ・ムウー総務大臣の紹介に、ウサミミ魔族の若者シン・ザンシャは席を立ち、「よろしくお願いいたします」とぴょこりとお辞儀をする。
「おおおっ」
「な、なんと! 魔王様検定1級!」
「すごすぎる新人だ!」
「わたしなどまだ3級だぞ」
「それは……せめて、準2級くらいはないと、大臣としては恥ずかしいぞ」
「筆記はいけるんだが、面接試験だと、どうも緊張してうまくいかないんだ」
「おい、それって、大臣として問題ありだろ……」
期待の新星の登場に、会議室がざわつく。
「はい! みなさん、お静かに!」
ソーウ・ムウー総務大臣は「みなさん、私語は厳禁ですよ~」とパン、パンと手を叩く。
「ちょっといいかしら?」
コウ・ホウー広報大臣が挙手をする。
「コウ・ホウー広報大臣、発言を許可します」
ぷるるんと胸を揺らしながら、三つ目の女魔族が勢いよく席を立つ。
「シン・ザンシャくん、ちょっと質問してよろしいでしょうか?」
三つの目がギラりと輝き、ウサミミ魔族の若者シン・ザンシャを睨みつける。
「コウ・ホウー広報大臣、質問は許可しますが、質問は優しくお願いしますよ? ウサミミ魔族の特性はご存じですよね?」
ソーウ・ムウー総務大臣の注意に、三つ目の女魔族は「わかっているわよ!」と、声を荒げる。
寂しいと死んでしまう……と云われているウサミミ魔族の若者は、それだけで卒倒しそうになる。
(別に、とって食おうってわけじゃないんだから……)
ぷるぷる震えているシン・ザンシャに向き直ると、コウ・ホウー広報大臣はとびっきりの笑顔を浮かべる。
「ひいっ!」
誰か……の悲鳴が聞こえた。
三つ目が忙しく動き回り、悲鳴の主をしっかりととらえる。
コウウッ・ローセイ厚生労働大臣が頭を抱えてガクガクと震えている。今にも机の下に潜り込みそうな勢いだ。
「シン・ザンシャくんって、もしかして、あのザンシャ家のご子息かしら? お母上のお名前は、フゥジョシッ・ザンシャ様?」
「はい。そうですが……。フゥジョシッ・ザンシャは、わたしの母です」
「きゃ――!」
コウ・ホウーの口から今まで聞いたことがない黄色い悲鳴が湧き上がった。
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